インタビュー 2021/2/7 11:30

放送5000回突破！「午後のロードショー」プロデューサーが語る、テレビで映画を観る醍醐味

「海外俳優と吹替声優との組み合わせが楽しめる」

「午後のロードショー」は日本語吹替版での放送が中心。映画ファンには字幕派の人もいるが、吹替版ならではの魅力はなんだろうか？

「一番の魅力は映像に集中できることですね。文字を追う必要がないので、巨匠たちが作った映像美に没入できます。また、アーノルド・シュワルツェネッガーの吹替えなら玄田哲章さんというように、海外俳優と吹替声優との組み合わせが楽しめるのも特徴です。同じ映画でも複数の吹替版が存在する作品があり、2度、3度と異なるパターンで鑑賞できる多様性は日本独自の文化ではないでしょうか」

アニメ作品が人気の日本では声優に向けられる熱量も高く、それは吹替声優についても同様だ。「午後のロードショー」で放送した中で、印象的な海外俳優と吹替声優の組み合わせも挙げてもらった。

「ジャッキー・チェンと石丸博也さんは定番ですよね。ほかには、シルベスター・スタローンとささきいさおさん、スティーヴン・セガールと大塚明夫さん、ジェイソン・ステイサムと山路和弘さん、トム・クルーズと森川智之さんによる組み合わせの作品を放送することも多いです。また、ロバート・ダウニー・Jr.の吹替えを数多くご担当されていた藤原啓治さんが昨年4月にお亡くなりになりましたが、同月に『アイアンマン』(08)を放送した際は、SNSでも大きな反響がありました。『藤原啓治さんのトニー・スタークが拝める』や『「午後ロー」で藤原啓治さんを堪能します』など、たくさんのメッセージをいただきました」

ロバート・ダウニー・Jr.がマーベル・コミックスのヒーローを演じるシリーズ第1作『アイアンマン』[c] 2008 MVL Film Finance. All Rights Reserved.

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ちなみに、最も“ハマっている”と感じた吹替作品として、岡本プロデューサーが推しているのが、映画ではなく海外ドラマの「HAWAII FIVE-0」。「主演のアレックス・オローリンを綱島郷太郎さん、共演のスコット・カーンを山路和弘さんが担当されているのですが、原音の英語で観るよりも、吹替版で観る方が2人の“夫婦喧嘩”と言われる軽快な言い合いが堪能できます」と語り、吹替版ならではの魅力を力説する。

「テレビではおもしろい映画を厳選して放送している」

動画配信サービスの普及により、いつでもどこでも、豊富なラインナップの中から好きなものを選んで視聴できる現在。このような時勢で、地上波で映画を放送する意味や強みは、「タダでおもしろさが担保された作品を観ることができる」ことだと岡本プロデューサーは考えている。

「動画配信サービスには魅力的な作品がたくさんラインナップされていますが、玉石混淆でもあります。有名キャストに惹かれて視聴したものの、『それほどおもしろくなかった』という経験をされた方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか？動画配信サービスは、自分で“考えて選択”をしなければなりません。しかし、テレビではおもしろい映画を厳選して放送しているので、視聴者はチャンネルを合わせるだけでよく、“考えなくていい”という利点があります。放送作品が好みに合わないこともあると思いますが、ハズレを引く可能性は低いはずです。それが地上波で映画を放送する最大の強みです」と熱い思いをぶつけてくれた。

スティーブン・キングの小説が原作で、人々が霧の中に潜む謎の生物に追い詰められる『ミスト』[c]2007 The Weinstein Company.All rights reserved.

「心に活力が湧いてくるような作品を探していきたい」

放送回数5000回を超え、4月にはいよいよ25周年を迎える「午後のロードショー」。最後に、今後の展望やチャレンジしたいことを語ってもらった。

「わかりやすいストーリーで、放送が終わったあとに『映画を2時間観て良い一日になったな』と心に活力が湧いてくるような作品を今後も探していきたいと思います。このコロナ禍で窮屈な日々を過ごさねばならない人が増えていますので、そういった方々が少しでも楽しめるような、まだ放送していない新作や、邦画もどんどん発掘していきたいです。25周年に向けて、3月中旬～4月にかけて豪華なラインナップを組む予定ですので、ぜひとも期待していてください！」

取材・文/平尾嘉浩

※記事初出時より、放送内容に変更がありました。

■「午後のロードショー」
毎週月～金曜13:35～　テレビ東京にて放送中
https://www.tv-tokyo.co.jp/telecine/oa_afr_load/

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