なぜ、宣伝マンは真冬の樹海でハーバリウムを作ったのか?【実録映画宣伝 樹海の絆】
今年もガチです
スコップをもって苔の採集を始めると、深緑の苔は見る見る間にバケツ一杯に溜まっていった。ハーバリウムを作るには十分な量が確保できたが、2人は瓶詰めを始めなかった。
なぜかと問うと、Kさんが答える。「このまま土などを掃ってハーバリウムを作っても、一時的には見映えのいいものになるんですが、長持ちさせるには一度乾燥させて、不純物をしっかり取り除いたほうがいいんです」。
2人は東京に帰ったあと、会社に戻って苔を乾燥させ、今晩作業にあたるそうだ。
「お客さんに大切にしてもらえるものを作らないと、映画の印象まで悪くなりますからね」と、Tさんが笑う。
記者はとっさに、「ここで詰めてしまったほうが楽では?」と言いかけたが、言葉を飲み込んだ。すべては映画のため、楽しみにしてくれるお客さんのためと信じて行動する2人からは、自分が楽をしようという考えが見えなかったからだ。
Kさんは、「私たちも本当は、ここでやってしまおうと思って瓶も持ってきていたんですけどね。でも撮影現場でそんなことしたら、罰が当たるなって思いなおしました」とはにかむ。
作業に励みながら、時たまふざけて雪玉をぶつけ合う2人の姿からは、共に苦しい時を乗り越え、仲間としてとして培ってきた信頼関係がはっきりと見えた。
なお今回は、記事のために余剰の瓶を使って、その場でハーバリウムの作り方を実演してもらったので、その模様を以下の写真で順を追って見ていただこう。
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謎の言葉、“樹海村の事故物件”
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