“第2のティモシー・シャラメ”が語る、『君の名前で僕を呼んで』監督最新作で見つけた気持ち「絆創膏を剥がすように、自分を発見していく」
「環境という絆創膏を少しずつ剥がすようにして、自分を発見していく」(グレイザー)
本作で描かれるのは、米軍基地という特殊な環境下で思春期を過ごす少年たちの姿。「ルカはあえて、あまり見たことのないような設定を選んだのだと思います。自分の置かれている環境は、その人に大きな影響を与えるものだし、成長を助けてくれるものでもある。基地という場所での生活をじっくりと細かく見せることで、それがどのようにキャラクターに影響するのかがわかるし、ほかの設定ではケイトリンの物語はここまで見えなかったと感じています」と語るシモンに、グレイザーも賛同。
「とても具体的な設定を持っていて、どのキャラクターもなにかを抱えて向き合おうとしている気持ちがはっきりと表れている。以前、軍事基地で育つ子どもたちの動画を見たのですが、彼らは規則がいっぱいある環境にいるからこそ、それに逆らおうとしていたのです。外の世界から隔てられた空間という環境は、フレイザーの心情のメタファーになっている。登場人物たちは自分たちが慣らされてしまった環境という絆創膏を少しずつ剥がすようにして、自分を発見していく。つまりタイトルにある通り『We Are Who We Are(=ほかの何者でもない)』ということが描かれているのです」と力強く語った。
今後もディズニー/ピクサーの最新作『あの夏のルカ』(6月18日よりディズニープラスにて配信)や、『シャザム!』の続編など話題作が待機しているグレイザーは現在17歳。本作の撮影前にはフレイザーという役柄を理解するために1か月近く誰とも顔を合わせずに過ごしていたことを明かす。
そしてグァダニーノ監督の言葉の使い方や演出の仕方にも強い影響を受けたようで、「映画を観たら、必ずルカに意見を聞くようにしていました。彼の洞察力にとても惹かれていたんです。おかげで役者と監督という関係を超えて、友だちとして仲良くなることができた。僕もいつか、彼のように監督をしたいと思っています」と、強い憧れと尊敬の念をのぞかせていた。
文/久保田 和馬