天才、それとも異端!?発明家、二コラ・テスラを映画はどう描いてきた?
現在の電気の基礎である交流電流の送電システムをはじめ数多くの発明を成し得、バラク・オバマ元米国大統領や故スティーブ・ジョブズ、イーロン・マスクらから熱いリスペクトを受ける天才発明家、二コラ・テスラ。1856年7月10日生まれのニコラ・テスラは、偉大な人物として称賛を受ける一方で、“孤高”、“異端”、“狂気”といった不穏な言葉を用いて称されることもあり、その最期は栄光とはかけ離れたものだった。そんなテスラの謎めいた人物像はたびたび、映画や小説、漫画などの題材にもされている。そこで今回、テスラが登場する映画をピックアップし、それぞれの作品でどのように描かれてきたのかを紹介したい。
栄光を手にしながらも寂しい晩年を過ごした二コラ・テスラ
本題に入るまでに、二コラ・テスラの生涯についておさらいする。1856年にオーストリア帝国(現在のクロアチア共和国)に生まれたテスラは、1884年にアメリカに渡り、トーマス・エジソンの会社「エジソン・マシンワークス」で働き始める。そこで交流による電力システムを推奨するテスラだったが、直流を推し進めるエジソンと対立。雇用条件の問題もあり、2人は袂を分かってしまう。独立した彼は同じく交流での事業展開を進める実業家のジョージ・ウェスティングハウスと連携し、かの有名なエジソンとの「電流戦争」が過熱していく。
ウェスティングハウスの協力で交流電力システムを設計したテスラ。そのシステムがナイアガラの滝に設立される水力発電所に採用され、1893年にはシカゴ万国の電力システムも交流に決定し、2人はエジソンに完全勝利する。その後もテスラは様々な発明に取り組み、1900年ごろからは世界規模の無線通信システムを構築し、巨大な送電塔を介して世界中で情報を共有することで無限のエネルギーを供給するシステムの開発に没頭していく。
ところが、ライバルがテスラの無線技術を使って大きな成果を上げたため、資金提供を断たれてしまい破産申告を受けることに。その後はノイローゼにも苦しみ、1943年に60年近く住んだニューヨークで、冠状動脈血栓のため86歳で貧しく孤独に、その生涯を閉じている。