「中国には、ウルトラマンのような知的財産が必要」全世界興収記録を打ち立てた監督が語る、映画産業の課題とは?

インタビュー

「中国には、ウルトラマンのような知的財産が必要」全世界興収記録を打ち立てた監督が語る、映画産業の課題とは?

中国で旧正月初日の2月12日に公開され、初日に約10.1億元(約164億円)という興行収入を記録した『唐人街探偵 東京MISSION』が、いよいよ日本でも公開され、話題を呼んでいる。本作は、中国の凸凹探偵コンビが、世界各国のチャイナタウンで様々な国際的事件に挑む人気シリーズの3作目。今回の舞台は東京で、前作『唐人街探偵 NEW YORK MISSION』(2021年公開)から続投の妻夫木聡をはじめ、日本人キャストが多数出演した。MOVIE WALKER PRESSでは、この国際色豊かなシリーズを手掛けてきたチェン・スーチェン監督に独占インタビューを敢行し、日本ロケの感想や、中国映画界が抱える今後の課題について聞いた。

『唐人街探偵 東京MISSION』は公開中
『唐人街探偵 東京MISSION』は公開中[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

カンフーの使い手だけどケンカに弱く、おっちょこちょいな性格のタン・レンと、その甥で驚異的な記憶力と推理力を発揮するイケメン、チン・フォン。今回彼らは日本の探偵、野田昊(妻夫木)から協力を依頼され東京にやってくる。そして野田やタイの探偵ジャック・ジャー(トニー・ジャー)と4人で、ヤクザの組長である渡辺勝(三浦友和)が関わるある事件を解決しようとする。

主人公である自称“探偵”コンビを演じるのは、中国のトップスターであるワン・バオチャンとリウ・ハオラン。日本からは妻夫木、三浦、長澤まさみ、浅野忠信、鈴木保奈美、染谷将太、奥田瑛二、六平直政が、香港からはアンディ・ラウ、タイからはトニー・ジャーなど、アジア各国の人気俳優を迎え、「唐人街探偵」シリーズ史上最高の予算をつぎ込んだエンターテインメント大作となった。


事件の謎を解いていく探偵たち
事件の謎を解いていく探偵たち[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

チェン監督は「僕みたいに日本映画や日本文化について、たくさん研究をした監督にとって、日本でこのような有名な俳優陣と一緒に仕事をできたことは、まさに夢が叶ったという感じです」と喜ぶ。

何者かに殺害されたマフィアの秘書、小林杏奈役の長澤については「特に印象的だったのは長澤さんのラストシーンで、撮影技術上の都合で撮り直すことになったけど、ワンテイクで即OKな演技をしてくれました。彼女の演技力に圧倒されました」と称え、エリート警視正の田中直己役を演じた浅野についても「浅野さんは、一言では表現できないような善と悪の両面を演じることができる俳優です。染谷将太さんもそうですが、そういう俳優は中国でもそうそういない。その個性と魅力が、劇中でも大いに発揮されています」とうれしそうに語る。

ヤクザの組長、渡辺勝役の三浦友和
ヤクザの組長、渡辺勝役の三浦友和[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

しかもどの日本人キャストにも、きちんと見せ場が与えられている点にも感心させられるが「主役だろうが脇役だろうが、物語上はそこまで重要ではないキャラクターでも、それぞれが映画における大切な役割を果たしていると僕たちは考えています」というのが監督の持論だ。

川村晴子&芳子役の鈴木保奈美
川村晴子&芳子役の鈴木保奈美[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

また「鈴木さん主演のテレビドラマ『東京ラブストーリー』もよく観ていたし、三浦さんが出演されていた『赤い疑惑』も中国では非常に有名で、特に僕の父親世代に大きな影響を与えたドラマです。このような先輩たちと一緒に映画を作れたことも非常にうれしかったし、プロフェッショナルな方々のお芝居をそばで観られて、とても楽しかったです」と感無量の様子だった。

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