【今週の☆☆☆】究極の映像体験!『竜とそばかすの姫』、劇薬のようなエンタメ『プロミシング・ヤング・ウーマン』など、週末観るならこの3本!

コラム

【今週の☆☆☆】究極の映像体験!『竜とそばかすの姫』、劇薬のようなエンタメ『プロミシング・ヤング・ウーマン』など、週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、ヒットメイカー、細田守監督がネットの世界を舞台に新たな世界を紡ぐファンタジー、アカデミー賞脚本賞に輝いた、“復讐”エンタテインメント、韓国スター共演のSFアクションの、何度も見たくなる3本!

新時代の“細田守ワールド”は、めちゃくちゃ刺激的!…『竜とそばかすの姫』(公開中)

ベルの前に現れた謎の“竜”の声を演じるのは佐藤健(『竜とそばかすの姫』)
ベルの前に現れた謎の“竜”の声を演じるのは佐藤健(『竜とそばかすの姫』)[c] 2021 スタジオ地図

これぞ、究極の映像体験だ! 心を閉ざした高知の田舎の女子高生・すずが、50億人が集うネット上の仮想世界〈U〉ではもうひとりの自分「ベル」になりきり、現実の世界では発揮できない美しい歌声を響かせる。そんな彼女が苦悩する“竜”の救済を通して成長していく本作の物語は、細田守監督の代表作『サマーウォーズ』(09)の進化形とも言えるもの。同時代感がより増し、いまを生きる人たちが自然に共鳴できる内容になっているが、世界のトップクリエイターがそれぞれのスキルを最大限に発揮して構築した新時代の“細田守ワールド”は、そのグローバルな創作スタイルも含めてめちゃくちゃ刺激的!そして本作の最大のエポックであり、生命線でもある「ベル」の“歌”に誰もがヤラれる。ミュージシャンの中村佳穂をすずとベルの声に起用した、細田監督の大胆な試みと狙いがまんまと成功。この圧倒的な映像と音楽の共演は、完璧な映像と音響の設計がなされている映画館の立体的な空間でしか味わえない!!暗闇で大きなスクリーンに身を任せれば、ベルが、常田大希の率いるmillennium paradeの手がけたメインテーマ「U」を歌い上げるオープニングから一気に劇中の住人になってしまう。(ライター・イソガイマサト)

すべての観客は事件の目撃者と化す…『プロミシング・ヤング・ウーマン』(公開中)

【写真を見る】鮮烈すぎるヒロインを、キャリー・マリガンが体当たりで熱演!(『プロミシング・ヤング・ウーマン』)
【写真を見る】鮮烈すぎるヒロインを、キャリー・マリガンが体当たりで熱演!(『プロミシング・ヤング・ウーマン』)[c] Universal Pictures

劇薬のような作品だ。ある出来事によって前途洋々たる未来が大きく狂い、復讐の人生を歩まざるを得なくなったヒロインの物語。観終えたあとも、映画を通してジワジワと拡がってゆくその“劇性”は、心の底に沈殿したまま作用し続けるだろう。咎められる立場の男性陣は当然ながら、ジェンダーを限定せず、すべての観客は事件の目撃者と化し、「罪と罰」とを噛みしめることとなる。つまり、決して他人事にはさせないのだ。
そんな非常に扱い方の難しいテーマを、ひねりの効いた構成、凝った選曲とジャンルの横断、うねりまくるストーリーテリングで「エンタメ作としてめちゃくちゃ面白く」してしまうワザがすごい。(シニカルな役でカメオ出演もしている)製作、監督、脚本を兼任したエメラルド・フェネルの胆力に敬服!そして、冒険的な役柄に身を投じた主演のキャリー・マリガンと、進んでプロデューサーに名を連ねたマーゴット・ロビー、二人の熱い友情にも!!(ライター・轟夕起夫)


哀しき運命を背負ったクローンと、余命宣告を受けた男の間に生まれる絆…『SEOBOK/ソボク』(公開中)

絶大な人気を持つコン・ユとパク・ボゴムが共演(『SEOBOK /ソボク』)
絶大な人気を持つコン・ユとパク・ボゴムが共演(『SEOBOK /ソボク』)[c] 2020 CJ ENM CORPORATION, STUDIO101 ALL RIGHTS RESERVED

『建築学概論』で“初恋シンドローム”を巻き起こしたイ・ヨンジュが、9年ぶりに撮った近未来SFエンタテインメント。主演は、みんな大好きなコン・ユ。青春スターのパク・ボゴムが、人類初のクローン、ソボクに扮する。余命宣告を受けた元情報局エージェントのギボンに、国家の極秘プロジェクトで誕生したクローン、ソボクを護衛する任務が舞い込む。しかし任務開始早々、何者かに襲撃を受ける。2人はかろうじて逃げ伸びるが、ソボクを奪おうとするいくつもの組織が入り乱れ、2人の前に立ちはだかる――。
肝は、背負わされたソボクの哀しき運命、そんな彼と衝突しながら心を通わせていくギボンの変化、そして彼ら2人の間に生まれる兄弟のような絆と信頼。主演2人が、それぞれの魅力を放ちながら、体当たりで演じている。“クローンが背負う哀しき運命”と言うと『私を離さないで』を思い浮かべる人が多いだろうが、味わいは別物。本作はソボクが持つ、ある能力のお陰(?!)で、あまり構えず、エンタメ大作として楽しめる作りになっている。(ライター・折田千鶴子)

週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!なお、緊急事態宣言下にある都道府県の劇場の一部では引き続き臨時休業を案内している。各劇場の状況を確認のうえ、足を運んでほしい。

構成/サンクレイオ翼

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