『大魔神』『帝都物語』と密接な関係も!荒俣宏が明かす、“裏日本書紀”としての『妖怪大戦争 ガーディアンズ』
「『大魔神』は、妖怪映画において岡本太郎の出現に比すものです」
『妖怪大戦争 ガーディアンズ』の大きな見どころとなっているのは、大映特撮映画の代名詞として世界的な人気を誇る「大魔神」が、『大魔神逆襲』(65)以来実に55年ぶりにスクリーンにカムバックを果たしたことだ。リアルタイムで「大魔神三部作」を見届けている荒俣は「大映が『大魔神』を作った当時、関係者も観る側も気づかなかったかもしれませんが、じつは後世に妖怪史の新芽を残すものになるのではないかという印象を、今度のことではっきりと抱きました」と振り返る。
「大映当時はいまと違って、縄文時代や古墳時代の話はまだまだ未開の状態だったので、子どもたちにとってもまったく関心の的ではなかったのです。大魔神という存在は古墳時代のシンボルであり、ヤマト朝廷が始まって以降の時代における祟り神が平将門だったとすれば、それ以前は武神様がその役割だったといえます。それまでの妖怪物は江戸以降のキャラクターで楽しむものが多いなか、一気に古墳時代まで遡ったというインパクトがすごかった。当初は単なる“古代の妖怪”としてのイメージでしたが、それだけじゃないのだと後講釈でどんどんわかってきました。世界はもうすでに出来上がっていると思っていたけれど、そうではなかった。人間も昔の生物と繋がっていて、その大元には生命の源のようなものが存在している。それをどんどん遡っていくスリルを大魔神が教えてくれたのです。その価値に、公開当時は誰も気付けなかったでしょう。大映の『大魔神』は進化論におけるダーウィンであり、大魔神は妖怪映画における岡本太郎の出現に比すことができるのです」。
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加藤先生に秘められた、「帝都物語」とのリンク
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