『オールド』が映しだす“ピントのぼやけた未来”…恐怖と感動が押し寄せる、かつてない映画体験
1999年の『シックス・センス』から一貫して良質の、かつネタバレ厳禁な“どんでん返し”スリラーを作り続けるM.ナイト・シャマラン監督。彼の最新作『オールド』が現在公開中だ。先にお伝えしたいのは、本作がシャマラン作品を初めて観るという方はもちろん、これまで彼の作品を観続けてきた方も満足いただける出来栄えだということ。筆者もそうだが、時に文句を言いながらも、監督の作品をつい観続けているファンの目には「いつもどおりツッコミどころはあるものの、脚本が破綻してない!」と、うれしい驚きでエンドロールを迎えることになるはずだ。
スクリーンから一瞬も目が離せない!スピード感ある事件の続発
なにせ賛否分かれる作品の多いシャマラン監督。名作も迷作もある、というのはファンもよく理解している。そんな方が観たとしても、キャラクターと舞台の設定、それにまつわるギミック、伏線、そしてシャマラン作品らしい結末を楽しめることだろう。ぜひとも、閉塞感とシチュエーションの妙を楽しんでもらいたい。
あらすじは、当サイトをはじめ様々なところで読むことができるので割愛するが、本作の特徴としてはとにかく展開が速いことが言える。これまでの監督の作品群で最速ではないか?と思えるほど。数分の間に数か月が進むようなスピード感で事件の続発が描かれ、スクリーンから一瞬も目が離せない。
余裕のある人なら、見入っている際にふと、作品冒頭に特別上映されるビデオメッセージで監督が語った、「大スクリーンへおかえりなさい」という言葉を思い出し、言い得ぬ多幸感に浸る人もいるだろう。
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急速な人生観の変化が、サスペンスを生みだす
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