第34回東京国際映画祭が開幕!イザベル・ユペールが「私たちには映画が必要です」と訴える
第34回東京国際映画祭(TIFF)が本日10月30日に開幕し、東京国際フォーラムでオープニングセレモニーが開催。フェスティバル・アンバサダーを務める橋本愛やコンペティション部門の審査委員長を務めるイザベル・ユペールや審査委員の青山真治監督、映画評論家/プログラマーのクリス・フジワラ、プロデューサー/キュレーターのローナ・ティー、映画音楽作曲家の世武裕子ら豪華ゲストがレッドカーペットを歩いたあと、セレモニーに登壇。ユペールは「私たちには映画が必要です。また、映画も私たちを必要としてます」と力強く語った。この模様はオンラインでも生中継された。
イザベル・ユペールは「コロナ禍において、映画作りは非常に大きなチャレンジです。また、映画祭が開催されたこと自体が勝利と言えます。私はいま、ここにこうして、ほかの審査員の方々と立っていられることが光栄です」と来日できたことを喜び、「私たちは一緒に映画を観るべきです。それがコロナ禍で、私が一番やりたかったことなんです」と挨拶をした。
チェアマンを務める安藤裕康は「今年もコロナ禍で、果たして本当に実施できるのかと、最後までやきもきしました。でも、コロナがようやく一段落しまして、こうしてたくさんのお客様をお迎えしてオープニングセレモニーを迎えられ、感無量です。これも多くの方々のご尽力の賜物です」と感謝した。
続けて「東京国際映画祭は17年間、六本木でお世話になりましたが、さらにお客様の層を広げたいと思い、映画の伝統がある有楽町、銀座、日比谷地区に移ってまいりましたが、有楽町の駅前、チケットセンターなどは大変な賑わいを見せています。すべての方々にとって国境を超えて、学びと共感の場になることを願いつつ、開会を宣言します」と力強く開幕宣言をした。
開催を祝して、岸田文雄内閣総理大臣からもビデオメッセージが。コロナ禍での開催について「リアルとオンラインを織り交ぜた新しい形の映画祭を実現されました」と称え「我が国が誇る文化芸術を外交にも積極的に活用していきたい。東京国際映画祭は、それらを世界中の人々に知っていただく大変重要な機会です。我が国の映画やアニメの魅力が多くの人々に届くことを願っています」と述べた。
フェスティバル・アンバサダーを務める橋本愛は、レッドカーペットについて「本来は周りにお客さんがいて、年に一度、まれに見る皆さんと交流できる楽しいイベントですが、コロナ禍で今年は熱気を感じるような空気ではないにしても、こういう状況のなかで、たくさんの人が力を注いでいただいたからこそ映画祭が開催できたので、ありがたみを感じる瞬間でした」と感謝した。
“越境”をテーマにした今年の映画祭について、橋本は「男女の性別、各国それぞれの物理的なボーダー、文化の違いなど、いろんなボーダーがありますが、そこをお互いに違いを認めあいながら、歩み寄るには、誠実にお互いが考えていくことが大事かなと。また、いま生きている人たちの感性を育てていくのは映画の役割としても大きいので、映画を通して、世界にそこを広げていってくださるのはすごくありがたいことだなと思っています」としみじみ語った。
最後にオープニング作品である、クリント・イーストウッド監督が主演も兼ねた最新作『クライ・マッチョ』が紹介された。イーストウッド監督の50周年記念作品でもある本作で、多数の関係者からのメッセージビデオが紹介されたあと、イーストウッド監督からの手紙も代読された。
手紙には「オープニング作品に選ばれてとても光栄に思います。できればセレモニーにも参加したかったです。『クライ・マッチョ』では、私が信じる本当の強さを感じてもらえればと。本作はコロナ禍で撮影されたものですし、映画界に勇気をもたらせる作品になればと。どうぞ楽しみにしてください」とあり、大いに期待が膨らんだ。
第34回東京国際映画祭は、昨年に続き、コロナ禍でも感染対策を徹底したなかで、映画館での上映を基本としての開催に踏み切った。本日から11月8日(月)まで10日間、角川シネマ有楽町、シネスイッチ銀座、TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、有楽町よみうりホールなどで開催されていく。
取材・文/山崎伸子