異色のラブストーリー『恋する寄生虫』の制作秘話に迫る!都立水元公園の“メタセコイアの森”も印象なシーンで登場
高坂と佐薙の出会い、初めての会話を収めた水元公園の記念広場
本作で東京ロケーションボックスは、劇中のいくつもの印象的なシーンに登場する都立水元公園での撮影をサポートした。水元公園は、東京都の東部、葛飾区に位置し、埼玉県三郷市に接している都内最大の水郷公園。小合溜(こあいだめ)と呼ばれる小さな河川から引いた大小の水路が園内を走り、都内で唯一の水郷景観を作りだしている。園内にはポプラやメタセコイア、ハンノキなど水辺に強い樹木が生育し、ハナショウブやスイレン、コウホネといった水生植物を多く見ることができるなど、美しい景観は多くの人に愛されている。
まず、園内の記念広場では、極度の潔癖症ゆえに、コート、マスク、帽子、手袋で完全武装した高坂が、女子高生の佐薙と会い、初めて言葉を交わすシーンを撮影。和泉の話から、10歳くらいの子どもをイメージしていた高坂は、佐薙の姿を見て戸惑いを隠せない。まだ事情をよく理解していないため、おどおどしている高坂と、「和泉からの報酬を半額くれたら、友だちになってあげる」と言い放つ佐薙の小生意気な態度が対照的なシーンだ。
都内とは思えない、静かで美しい景色が特徴のメタセコイアの森
高坂と佐薙が森の中を散歩するシーンは、園内のメタセコイアの森で撮影された。ここは「生きている化石」として知られるメタセコイアがおよそ1500本植えられた、都立公園では最大規模の森。背の高い木々の間を歩く2人はとても楽しそうで、2人が親密になっている様子がよくわかる。
メタセコイアの森は、高坂と和泉が歩きながら話をするシーンにも登場。ここで和泉は、高坂と佐薙が親しくなったという事実を確認しつつ、「なにがあったとしても一線だけは超えるな。キスもだ」と、高坂に謎の警告をする。また、日が暮れた後のロケでは、高坂が初めて、両親の自殺のことを佐薙に打ち明けるシーンも撮影された。都内とは思えない、森の中の静けさをたたえた美しい景色には、どこか別世界のような魅惑的な雰囲気が漂っている。
また、佐薙が芝生に寝転んで「寄生虫なき病」の本を読んでいるシーンは、園内の中央広場で撮影。約10ヘクタールもの広大な面積を誇る芝生広場で、全体がなだらかな草地の丘になっているエリアだ。ここで佐薙は、子どもたちが蹴ったサッカーボールを、わざと違う方向に蹴り返す。人間嫌いの佐薙のキャラクターが端的に表れているシーンである。
コントロールの効かない自然の中での撮影をする難しさ
これらの都立水元公園でのロケ撮影は、2020年3月に2日間にわたって行われた。そのうちの1日は、まさに春の嵐という突風が吹き荒れていたため、小松の髪が風に舞い上がってしまい、撮影出来ないという場面も多かった。スタッフが工夫を凝らして風を防ごうとするも歯が立たず、とにかくタイミングを見計らって撮影することに。コントロールの効かない自然の中で、映画というフィクションの世界を作り上げる制作陣の苦労を感じる現場だったという。
映画にはほかにも、2020年8月で閉園したとしまえんや、国立科学博物館、ヴィーナスフォートなど、有名なスポットが次々と登場する。登場人物が少なく、高坂と佐薙の2人の間で物語が進行していく本作においては、ロケ地もまた重要な役割を果たす。主人公の2人がかけがえのない時間を過ごしたロケ地を訪ねて、ぜひ物語の世界に浸ってみてほしい。
文/石塚圭子
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