「トワイライト」に『ウォールフラワー』、『カオス・ウォーキング』まで!心の葛藤を描く「ヤングアダルト小説」が原作の映画たち

コラム

「トワイライト」に『ウォールフラワー』、『カオス・ウォーキング』まで!心の葛藤を描く「ヤングアダルト小説」が原作の映画たち

謎の巨大迷路が少年たちに様々な試練を突き付ける「メイズ・ランナー」シリーズ

過去の記憶を失った少年たちが、謎の巨大迷路からの脱出を試みる「メイズ・ランナー」シリーズ(14~18)。「いったい誰がなんのためにこの迷路を作ったのか」。嘆く少年たちをあざ笑うかのように、変幻自在の迷路は気まぐれに行く手を閉ざし、人よりも大きなクモ型クリチャーが彼らの命を奪おうとする。そんな試練を前に、ぶつかり合い、励まし合いながら、決死の覚悟で迷路攻略に挑む少年たちに心動かされてしまう。加えて、ちりばめられた伏線や、衝撃のどんでん返しなど、最後まで飽きさせない工夫が凝らされたシリーズだ。


過去の記憶を失った少年たちが、謎の巨大迷路からの脱出を試みる「メイズ・ランナー」シリーズ
過去の記憶を失った少年たちが、謎の巨大迷路からの脱出を試みる「メイズ・ランナー」シリーズ写真:EVERETT/アフロ

難病という逆境を感じさせない、10代のカップルの姿がまぶしい『きっと、星のせいじゃない。』

そして、難病を患う10代の男女の青春物語を描いた『きっと、星のせいじゃない。』(14)は、深刻な題材を扱っていながらも、決して感傷的にならない軽やかなテイスト。『ファミリー・ツリー』(11)で頭角を現したシャイリーン・ウッドリーが末期がんの少女を、『ベイビー・ドライバー』(17)のアンセル・エルゴートが骨肉腫で片足を失った少年を演じ、逆境に負けず全力で恋するカップルをパワフルに体現している。全米でベストセラーとなった原作を基に、『(500)日のサマー』(09)のスコット・ノイスタッター&マイケル・H・ウェバーの2人が脚本を担当。主人公カップルが好きな作家で意気投合する場面や、2人だけの合言葉を電話やメッセージで送り合うシーンなど、甘酸っぱい「恋人あるある」に心トキメクはず!

難病を患う10代の男女の青春物語を描いた『きっと、星のせいじゃない。』
難病を患う10代の男女の青春物語を描いた『きっと、星のせいじゃない。』写真:EVERETT/アフロ

思春期特有の葛藤や悩みを“ノイズ”でユニークに表現した『カオス・ウォーキング』

そんな粒ぞろいのヤングアダルト小説原作の映画のなかにおいて、『カオス・ウォーキング』は思春期真っただ中の主人公の考えていることが、すべて他者へ漏れてしまうという設定が際立っている。舞台は、人類が地球からニュー・ワールドと呼ばれる惑星に移住した未来。女性たちが死に絶え、残った男たちは考えや想いが“ノイズ”としてビジュアル化されるようになった。そこで生まれ育った最年少の少年トッドは、ある日、墜落した宇宙船の唯一の生存者である少女ヴァイオラと出会い、一目で恋に落ちてしまう。村の首長たちに狙われたヴァイオラを守ろうと、トッドは彼女と逃避行に出るが…。


ヴァイオラを守ると決意するトッド。2人の逃避行の先々で、この星の驚愕の秘密が明らかになっていく
ヴァイオラを守ると決意するトッド。2人の逃避行の先々で、この星の驚愕の秘密が明らかになっていく[c] 2021 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.

劇中のトッドは、強がる態度とは裏腹な情けない弱音も、初めて会った女性に対して「彼女とキスができたらなぁ」という妄想も、すべてが当人に筒抜けに。シリアスな物語のなかで、痛々しいけどピュアなトッドに思わずクスっとさせられてしまう。そのほか、原生林での危険なバイクチェイスや、荒れ狂う川でのアクションなど見どころは多数。ユニークな設定と、しだいに明かされていくニュー・ワールドの秘密に引き込まれること必至だ!

プレンティス首長は、いまある秩序を壊しかねないヴァイオラを捕らえようとする
プレンティス首長は、いまある秩序を壊しかねないヴァイオラを捕らえようとする[c] 2021 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.

青春のキラキラした感覚と、ミステリアスな展開が堪らないヤングアダルト小説を原作とする映画たち。誰もがきっと共感してしまうこと間違いなしのこれらの作品群をぜひ堪能してほしい。

文/水越小夜子

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