生田斗真、三池崇史監督、宮藤官九郎が『土竜の唄 FINAL』を語り尽くす!「男にしてもらった作品でした」
「3本を通して、生田くんの座長感と言う意味での成長はすごいなあって思います」(宮藤)
――これまでの3作を通して、生田さんが成長したなと思える点を、お2方から聞かせてほしいです。
三池「逆に言えば、そこが難しいところです。菊川玲二というキャラクターは成長しない男。生田斗真が俳優として成長しているところを役に盛り込みすぎるのはどうなんだろうと。そういう打ち合わせはしていないけれど、生田さんご本人のなかでは『俳優として成長した俺を見てくれ』という想いは超越していた気がします。そういう意味では、1本目をやった時から、役に対する愛情や想いは変わってないのではないかと。
俳優にとっては、シリーズを通して自分のモチベーションを保つだけでなく、さらに役を追求していくというのが、1番難しいと思いますが、生田さんはそこはずっと貫いてきた。もちろん彼の成長は撮っていてすごく感じますが、本番では、必要な場面だけでその力を発揮するんです。シリーズ作品だと役に慣れてきて『こんな感じでOKにしよう』となりがちですが、今作を観ても、玲二を完全燃焼したというか、やり切ったなあという印象を受けました」
宮藤「そうですね。成長については、ほかの作品でやってもらうというか、玲二は成長しないというキャラクターですから。毎回騙されるし、毎回これが最後だと言っていて、こんなことをしたら絶対にモグラだってことがバレるだろうということをやっているのにバレない(笑)。そこは1作目からまったくぶれてない点です。ただ、やはり3本を通して、生田くんの座長感と言う意味での成長はすごいなあって思います」
――生田さんご自身はいかがですか?
生田「僕自身の成長ですか?」
宮藤「でも、『土竜の唄』の経験って、なにかに活かされないよね(笑)」
生田「ほかの作品ではあまりない、貴重な体験ですからね(笑)。いや、もちろんあったと思います。『土竜の唄』という作品が、僕の俳優人生において大きなターニングポイントになったと思っていますし。自分としては成長できたかはわからないですが、男にしてもらった作品ではあります。シリーズものも初めてだったし、同じ役を何度も演じる機会を得たことも初めてでした。また、菊川玲二という男に、みんなが夢を乗せて、走り続けてこれたなとも思っています。最新作は、嫌なことなどを全部吹き飛ばしてくれるようなお祭り映画になったので、たくさんの方に観てほしいです」
取材・文/山崎伸子