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コン・ユ×ペ・ドゥナ「静かなる海」、韓国ドラマ初の“宇宙”を実現した技術と演出に迫る

コラム 2022/1/16 21:30

コン・ユ×ペ・ドゥナ「静かなる海」、韓国ドラマ初の“宇宙”を実現した技術と演出に迫る

Netflix史上最大のヒット作となった「イカゲーム」から、神からの“告知”を受けた人々が地獄の使者によって残酷な死を迎える超自然現象を描く「地獄が呼んでいる」、月面に沈む恐ろしい秘密を題材にした「静かなる海」、ゾンビウイルスが広がった学校を舞台にしたハイティーンゾンビ・サバイバル「今、私たちの学校は…」まで。様々なジャンルのNetflix韓国ドラマがいま、全世界を熱狂させている。去年話題をさらった作品のビハインド・ストーリーや、注目すべき待機作まで、Netflix韓国ドラマを紐解いていくシリーズコラム。

【写真を見る】Netflixオリジナルシリーズ「静かなる海」の舞台裏をスチールたっぷりで紹介!
【写真を見る】Netflixオリジナルシリーズ「静かなる海」の舞台裏をスチールたっぷりで紹介!Netflix

月面探査をテーマにしたSFミステリー「静かなる海」の舞台は荒廃した地球。人類の必須資源が枯渇し、全ての生命体の生存が脅かされていた。大韓民国宇宙航空局は人類生存の答えを求めて月面探査を計画。宇宙生物学者ソン・ジアン(ペ・ドゥナ)をはじめ、探査隊長ハン・ユンジェ(コン・ユ)、首席エンジニアのリュ・テソク(イ・ジュン)、チームドクターであるホン・ガヨン(キム・ソニョン)ら精鋭たちを選抜する。彼らの目的地は、5年前に事故で閉鎖された月探査基地「渤海(パルヘ)」だ。基地内に残っているサンプルを回収して地球に帰還するという重大な任務を受けて月に向かうが、宇宙船が不時着するととともに大きな危機を迎える。

月にある研究基地内で繰り広げられるミステリーな物語を描いている
月にある研究基地内で繰り広げられるミステリーな物語を描いているNetflix

本作は、韓国のドラマシリーズ作品としては初めて、宇宙を舞台にしている。実際、韓国でもまだ月面探査に成功した事例はない。一体どのようにして、リアリティあるドラマへと完成させていったのだろうか。

1つ目は、この「静かなる海」が製作された背景にある。本作は、新人監督発掘の場として名高いミジャンセン短編映画祭に出品され、批評家から称賛された同名の短編映画が原作となっている。プロデューサーであり俳優のチョン・ウソンは、作品の持つ新鮮で大胆な想像力に一気に魅了されたそうだ。彼は「今までうまく扱われなかった月という場所と、空間設定が持っている斬新さに夢中になった。月にある韓国の研究基地内で繰り広げられるミステリーな物語が新鮮な雰囲気を醸し出している。十分に試せる、大きな衝撃を投げかけられるストーリーだ」と語る。

隊員たちの安全と任務遂行に最善を尽くすユンジェ(コン・ユ)
隊員たちの安全と任務遂行に最善を尽くすユンジェ(コン・ユ)Netflix


脚本には『母なる証明』(09)を務めたパク・ウンギョが参加。原作者のチェ・ハンヨン監督と韓国芸術総合学校映像院で師匠と弟子として初めて会ったパク・ウンギョは、チェ・ハンヨン監督の想像力と多くの可能性を秘めた短編のおかげで、長編化の作業は楽しさの連続だったと話した。「短編映画の世界観自体が多くの問いを投げかけていた。その答えを探していく過程も興味深く、シリーズ化に広げていく原動力だった」とし、連続ドラマにすることで短編が描き切れなかった多くの物語を見せていくアプローチになることを明かした。チェ・ハンヨン監督も「ランニングタイムが増えるほど、ミステリーを一つ一つ明らかにしていく楽しさがある。短編が基地の中の事件に集中した反面、シリーズでは地球の状況を見せながら、月で経験する事件により大きな意味と考え方を投げかける」と、ドラマ化の意義を語る。

一人で渤海基地をめぐる真実を暴くジアン(ペ・ドゥナ)
一人で渤海基地をめぐる真実を暴くジアン(ペ・ドゥナ)Netflix

2つ目は、キャスティングにある。「静かなる海」には、実力派俳優たちが集結しているのだ。優れた実力を持った宇宙生物学者ソン・ジアンを演じたのは、世界的に活躍する人気女優であり、Netflixシリーズ「キングダム」の凛々しい姿も記憶に新しいペ・ドゥナ。彼女は、他の隊員たちが任務に邁進するのとは違い一人で渤海基地をめぐる真実を暴くジアンの過去と心理状態を綿密に研究し、キャラクターと一つになっていった。『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)や『SEOBOK/ソボク』(21)、最近ではドラマ「イカゲーム」に特別出演も果たしたコン・ユは、隊員たちの安全と任務遂行に最善を尽くす宇宙航空局の最年少探査隊長ハン・ユンジェに扮する。

元軍人出身で荒々しく冷静なユンジェを表現しようと、肌を黒く日焼けし、タトゥーをするなど、外見まできめ細かく作り込んだ。命をかけた危険な任務に志願し、優れた業務遂行能力を持っているが疑惑を呼ぶ首席エンジニアのリュ・テソク役には、“ヨンギドル(演技が上手なアイドルのこと)をの先駆け”とも呼ばれ、映画にドラマにと活躍し強烈な存在感を発揮するイ・ジュン。他にも、ドラマ「愛の不時着」の演技も話題となり、映画『三姉妹』(21)で今年の青龍映画賞で助演女優賞にも輝いた個性派女優キム・ソニョンらが脇を固めている。

作為的な感じを最小化し、現実的な感じを生かした宇宙船のセット
作為的な感じを最小化し、現実的な感じを生かした宇宙船のセットNetflix

3つ目は、緻密に練り上げられたプロダクションデザインだ。「静かなる海」は、月面と宇宙船、渤海基地のセットはもちろん、VFXまで2年にわたるプリプロダクションと1年余りの後半作業を経て精巧なものになった。チェ・ハンヨン監督は「全体的に作為的な感じを最小化し、現実的な感じを生かしながら撮影した」と、本作の方向性を語る。VFXは、「Sweet Home -俺と世界の絶望-」でパンデミックに浸食された廃アパートの見事な空間演出を担当した特殊視覚効果専門スタジオ、ウエストワールドである。

今回、月面と宇宙の無限の拡張に、LEDパネルを利用したバーチャルプロダクション技術を利用した。既存のブルースクリーンをLEDパネルに置き換える方法で、実際の映像になるシーンをLED画面に投影して撮影する。単に画面に絵が映るのではなく、カメラの動きによってLED画面の遠近法も一緒に変化するため、カメラの自由な動きはもちろん俳優たちが演技に集中できるようになる。ペ・ドゥナは「LEDだと思えず、ただ月の地面だと思った。とても自然で、演技する時ほとんど気づかなかった」と驚いたそうだ。

Netflixオリジナルシリーズ「静かなる海」より
Netflixオリジナルシリーズ「静かなる海」よりNetflix

リアルで洗練されたセットも、俳優たちの心を掴んだ。月に不時着した着陸船は3か月にわたって作られた大型セットで、クレーンでセットを持ち上げて傾けることができるように丈夫で強固に建てられた。手掛けたのは、映画『Herstory』(18)と『ザ・キング』(17)などを担当した経験のあるイ・ナギョン美術監督。イ監督は宇宙船の演出について、「ねじや電線を露出させ表面が剥がれたようにし、薄暗い印象にした。任務遂行のために来た隊員たちの緊張した姿が強調されるようにデザインした」と説明している。物語の核となる巨大な謎を隠した渤海基地は、すべてが機密のうちにある任務を遂行する場所であるだけに、どんな外部刺激にも損傷がないというのがおもなコンセプトだった。丈夫で重く見える素材の質感を利用し、秘密に包まれている巨大な要塞のように見せ、ブルースクリーンを最小化してセットの床、壁、天井まで作ったそうだ。

Netflixオリジナルシリーズ「静かなる海」より
Netflixオリジナルシリーズ「静かなる海」よりNetflix

2021年、話題性とクオリティの高さでNetflixのドラマシリーズを席巻した韓国コンテンツ。今年もきっと、映像ファンの話題をさらう一本に出会えるはずだ。

文/荒井南

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