「イカゲーム」の快挙、SFへの進出…昨今の韓国コンテンツの流れから見えてくる2022年の注目作は?
ハイクオリティな映像が支える本格SF作品の隆盛
映画界にも当てはまる映像クオリティの高さ。その質を担っているのが、韓国のVFX制作会社Dexter Studios(デクスター・スタジオ)だ。このスタジオは、キム・ヨンファ監督が、ゴリラがプロ野球に殴り込むスポーツコメディ『ミスターGO!』(12)を作る際に立ち上げた会社。『パラサイト 半地下の家族』や「神と共に」シリーズなど近年のヒット作を陰から支えており、2021年に日本公開された作品では、北朝鮮と中国の境にある火山噴火パニックムービー『白頭山大噴火』の、大迫力のディザスター描写も観客の度肝を抜いた。
なかでもデクスター・スタジオが手掛けた作品で、2021年に最も大きな注目を集めたのが『スペース・スウィーパーズ』だ。宇宙ゴミの回収を生業とするはぐれもの宇宙船クルーの活躍を描いた“韓国初の宇宙を舞台にしたSF”だ。
本作でデクスター・スタジオは、2000カットにもおよぶVFXシーンのうちの約70%を担当。それまでは、クリーチャー系で手腕を見せつけてきたが、宇宙や宇宙船、ロボットといった新たな領域でもその実力を発揮。宇宙船同士のチェイスシーンのように美しくも迫力満点のハリウッド顔負けの映像を生みだしてみせた。
また、“SF”も2021年の韓流コンテンツのキーワード。このジャンルはこれまで韓国では不人気で、映画だけでなく小説などの領域でもあまり作品が作られてこなかった。しかし『スペース・スウィーパーズ』だけでなく、2021年は『SEOBOK/ソボク』といった大作も作られており、大きな潮目を迎えている。
『SEOBOK/ソボク』は、余命宣告を受けた元エージェントが、国家の極秘プロジェクトによって誕生したクローン人間を様々な陰謀から守っていくという1作。数々のヒット作に名を連ねてきたコン・ユと青春スターとして本国で絶大な人気を誇るパク・ボゴムがキャスティングされていることでも、韓国の映像業界が、SFジャンルに本気で踏み込もうとしていることがわかるはずだ。