「イカゲーム」の快挙、SFへの進出…昨今の韓国コンテンツの流れから見えてくる2022年の注目作は?
昨今のキラーコンテンツ、K-ゾンビ作品も…2022年の注目作は?
ここからは2022年に注目したい作品をピックアップ。まずドラマでは、昨年末からNetflixで配信されている「静かなる海」を紹介したい。ペ・ドゥナ、コン・ユらスター俳優が名を連ねた本作は、月に存在する閉鎖された宇宙基地から、あるサンプルの回収という危険なミッションに挑む隊員たちを襲うスリリングな事件を描いた本格的なSFスリラー。
舞台である宇宙と月を表現するため、LEDパネルを用いた“バーチャルプロダクション”と呼ばれる最新のVFX技術が用いられており、その映像美にも高い評価が集まっている。SFジャンルにさらに踏み込んでいった挑戦的な1作なので、韓国作品を追っている人はぜひチェックしておきたい。
またNetflixで1月28日(金)から配信開始となる「今、私たちの学校は...」は、ウェブトゥーン原作、映画監督の起用とヒットドラマの法則に当てはまる1作だ。ゾンビであふれかえった高校を舞台に、構内に閉じ込められた生徒たちが、生き残りを懸けた戦いに挑むホラー。『完璧な他人』(18)や『王の涙 イ・サンの決断』(14)といった作品を手掛けてきたイ・ジェギュがメガホンを握っている。
さらに『新感染 ファイナル・エクスプレス』やドラマ「キングダム」など世界的に注目されている韓国ゾンビものである点、「梨泰院クラス」などの数々のヒットドラマを生みだしてきたJTBCが制作プロダクションとして名を連ねている点でも、話題になることは間違いないだろう。
映画からは『声もなく』(1月21日公開)に注目したい。「地獄が呼んでいる」の主演としてグッと知名度を上げたユ・アイン。彼がいっさいセリフのない難役を演じ、韓国の賞レースの権威である青龍賞と百想芸術大賞を総なめにした本作は、誘拐犯となってしまった口のきけない青年と両親から身代金を払ってもらえない誘拐された少女、社会に見捨てれた2人の邂逅を綴る人間ドラマだ。
メガホンを握るのは今作が長編デビューにもかかわらず、数々の賞レースで新人賞に輝いている女性監督のホン・ウィジョン。韓国といえば近年、『はちどり』(18)のキム・ボラ、『82年生まれ、キム・ジヨン』(20)のキム・ドヨンら、女性監督が次々と名作を生みだし、日本でも映画好きを中心に話題を集めている。そういう意味でも本作は注目して損はない作品だ。
また今年公開されるかはわからないが、デクスター・スタジオ、SFという観点から注目なのが『ザ・ムーン(仮題)』だ。キム・ヨンファ監督が「神と共に」シリーズで惚れ込んだD.O.(EXO)と名優ソル・ギョングが共演し、宇宙に1人残された男と彼を救おうと奮闘する男の物語が展開する。撮影はすでに昨年10月に終了しているとのことで、続報が楽しみな作品だ。
毎年、クオリティの高い作品とビッグなニュースを提供してくれる韓国の映像業界。今年もどんな作品に出会えるのか?楽しみでならない!
文/サンクレイオ翼