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宮澤エマがひも解くスピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』「過去と現在、未来を地続きにする、巧みな演出に唸らずにはいられない」

インタビュー

宮澤エマがひも解くスピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』「過去と現在、未来を地続きにする、巧みな演出に唸らずにはいられない」

「自分のなかで終止符を打てなかったマリア役にピリオドを打てた」

舞台でマリア役を演じた宮澤だが、実は過去にはほかのキャラクターに扮した経験があるという。「高校の学芸会でも『ウエスト・サイド・ストーリー』を上演したんです。ほかの学校との合同の催し物でした。私が演じたのは、身体的には女の子だけどジェッツのメンバーに加わりたいエニィバディズです。学芸会では本作ほどジェンダーに切り込んでいない、女の子でいたくない女の子という役どころでしたし、当時は正直どこまでストーリーを理解できていたのかも曖昧で。いまでこそこんなに熱く語っていますが、『ロミオとジュリエット』の現代版でしょ?ぐらいの解釈だったと思います。まさか、将来ミュージカルの金字塔といわれる作品で、マリアを演じることになるなんて、夢にも思っていませんでした。そして、セリフを一字一句覚えるくらい、自分にとって思い入れの深い作品になるとは…。感慨深いです」。


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宮澤が出演したミュージカルは、新型コロナウイルス感染症の拡大によって発令された緊急事態宣言の影響で、残念ながら残り1週間の公演を残し中止となった。そういった経験をしたこともあり、コロナ禍において、エンタテインメントの在り方を見つめ直すこともあったという。

「もともといろいろなことを考えるタイプの人間でしたが、より立ち止まって考えることが多かった2年でした。自分がマリアとして最後までやれなかった作品、という悔しい想いがあるからこそ、別の形ではありますが、映画となって世の中に改めて作品を伝えることができたことを純粋にうれしく思います。本当に私事という感じですが、自分のなかで終止符を打てなかったマリア役にピリオドを打てたことに感謝しています。スピルバーグ版の『ウエスト・サイド・ストーリー』は、こんな世の中だからこそ、“生きること”とはどういうことか?という問いに対する答えを模索し、考えるきっかけを持って劇場をあとにできるエンタテインメントだと思います。だからこそ、改めてエンタメは必要だと実感できる作品でもありました」。

取材・文/タナカシノブ

宮澤エマ
東京都出身。2013年にミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング 〜それでも僕らは前へ進む〜」で女優デビュー。おもな代表作にミュージカル「ラマンチャの男」(15)、「ウエスト・サイド・ストーリー」Season2(20)、「WAITRESS ウェイトレス」(21)など。ほか、連続テレビ小説「おちょやん」(20)などに出演。現在、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出演中。


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