批評家が選ぶ、ライトマン親子監督作ランキング!『ゴーストバスターズ/アフターライフ』へ至る“フレッシュ”10選

コラム

批評家が選ぶ、ライトマン親子監督作ランキング!『ゴーストバスターズ/アフターライフ』へ至る“フレッシュ”10選

映画界には親子2世代で活躍する映画監督は多数いるが、どちらも第一線で活躍しているとなるとフランシス・フォード・コッポラ&ソフィア・コッポラか、ジョン・カサヴェテス&ニック・カサヴェテスなどかなり限られるだろう。親子で比較的近しい作風になることも珍しくはないが、アイヴァンとジェイソン親子の場合は作品の規模も笑いのテイストも正反対。そんなふたりが同じ「ゴーストバスターズ」作品で繋がることになったのは少々意外なことであった。

批評家から最も高い評価を得たのはやっぱり『ゴーストバスターズ』!
批評家から最も高い評価を得たのはやっぱり『ゴーストバスターズ』!写真:EVERETT/アフロ

その第1作『ゴーストバスターズ』は、1984年に公開されアメリカはもちろん日本でも記録的な大ヒットとなった。ニューヨークを舞台に、幽霊退治の仕事を始めた科学者たちが体験する奇想天外な出来事を描いた同作は、劇中に登場するユニークなガジェットや一度聴いたら耳から離れないテーマ音楽。そしてなによりビル・マーレイとダン・エイクロイド、ハロルド・ライミスといったキャスト陣が見せる個性たっぷりの演技の数々で世界中を魅了。1989年には続編も製作され、実際に作品を観たことがなくてもこの映画を知らないという人はほとんどいないのではと思えるほど圧倒的な知名度を誇る。

第1作当時6歳だったジェイソンは、アイヴァンに連れられて撮影現場に遊びに行っていたという。そして『ゴーストバスターズ2』には端役で出演。これがジェイソンにとって映画界デビューとなった。

95%フレッシュの『デイヴ』も良質なコメディとして人気が高い一本
95%フレッシュの『デイヴ』も良質なコメディとして人気が高い一本写真:EVERETT/アフロ

高評価を集めた10作品のうち、アイヴァンの監督作品は4作品。95%フレッシュを獲得した『デーヴ』は、大統領の影武者として雇われた男の姿をユニークに描いたドタバタコメディ。同作以降は興行的な成功を収めながらも批評的にはいま一つ伸びきれなかった。ほかの2作品はいずれも『ゴーストバスターズ』以前の作品ではあるが、サマーキャンプを舞台にした陽気なコメディ『ミートボール』ではマーレイと初タッグ。続く『パラダイス・アーミー』ではマーレイとライミスが共演を果たしており、この2作があったからこそ『ゴーストバスターズ』が誕生したと思えるほど突き抜けた笑いを味わうことができよう。

『JUNO/ジュノ』はアカデミー賞作品賞の候補にもあがる
『JUNO/ジュノ』はアカデミー賞作品賞の候補にもあがる写真:EVERETT/アフロ

そんな父の背中を追いながら、CMディレクターなどを経験して映画界にやってきたジェイソンは、ポップで軽妙なアイヴァン流コメディとは対照的なシニカルな笑いを生みだすスペシャリスト。86%フレッシュを獲得した『サンキュー・スモーキング』でその才が認められると、続く『JUNO/ジュノ』でアカデミー賞作品賞と監督賞にノミネート。そして、父アイヴァンが製作を務めて本格的な親子共作が実現した『マイレージ、マイライフ』でインディペンデント作家としての地位を不動のものとする。


32年ぶりのシリーズ最新作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』はジェイソンがメガホンをとり、アイヴァンが製作に!
32年ぶりのシリーズ最新作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』はジェイソンがメガホンをとり、アイヴァンが製作に!写真:EVERETT/アフロ

幾度となく続編製作の話が持ち上がりながら実現に至らなかった「ゴーストバスターズ」シリーズだったが、ジェイソンがあみ出したアイデアによって『ゴーストバスターズ/アフターライフ』として実現に至る。2014年にこの世を去ったライミスの演じたキャラクターの孫娘が活躍する内容は、シリーズファンならずとも胸を熱くすることだろう。批評家からの評価は63%とまずまずだが、観客からの評価は94%と、第1作を上回るシリーズ最高のスコアを樹立している。

【写真を見る】ジェイソン・ライトマンから亡き父への追悼メッセージ…「僕はヒーローを失った」
【写真を見る】ジェイソン・ライトマンから亡き父への追悼メッセージ…「僕はヒーローを失った」画像はジェイソン・ライトマン(@jasonreitman)公式Instagramのスクリーンショット

ジェイソンはアイヴァンの逝去を受け、自身のInstagramにコメントを投稿。「いまなによりも欲しいのは、もう一度だけ父と話しをする機会です。どうか父の映画を楽しんで、そしてその才能を思い出してほしい。それが父にとってなによりも幸せなことでしょう」。ライトマン親子の最後の共同作業によって現代へよみがえった「ゴーストバスターズ」。同時にアイヴァン・ライトマンという名監督のスピリットもジェイソンを通して今後も映画界に生きつづけることだろう。

文/久保田 和馬

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