『THE BATMAN-ザ・バットマン-』はマッスルカースタイル!映像作品に登場した歴代の“バットモービル”を振り返る
バットモービルに込められたノーランのリアリズム
クリストファー・ノーラン版の「ダークナイト」三部作では、戦地で活躍するために作られたが量産されることはなく、ウェイン社の倉庫で眠っていた軍用試作車という設定の通称“タンブラー”と呼ばれる、リアリティ重視のバットモービルが登場する。
リアのダブルタイヤなど、これまでのイメージを一新する武骨で重心の低いデザインは公開当時、賛否両論を呼んだが、ちょっとやそっとの衝撃には耐えてしまう頑丈な作りに加え、階段を上り下りしたり壁を飛び越えたりと機動力抜群。さらに装甲が外れて、“バットポッド”と呼ばれるオートバイに変形するギミックは観客の度肝を抜いた。
また、ザック・スナイダー監督作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(16)に登場したバットモービルは、軍用車のようなドッシリとした車体に加え、前方にむき出しの銃砲が搭載され、より戦闘向きのスタイルを実現。それでいながらもどこか以前のような流麗さも感じさせるバランスが取れていた。
設定を考慮した“普通の車”な最新作のバットモービル
そして最新作『THE BATMAN-ザ・バットマン-』は、どの作品とも異なる1960〜70年代のマッスルカーを彷彿させるルックスが最大の特徴的。リアこそ羽のようにわずかに広がったテールや火を噴く巨大なマフラーといったバットモービルらしさが感じられるが、正面から見るともはやイカついアメ車という印象を受ける。
このデザインは作品を「自分たちの近くのどこかにあるような世界にしたかった」というマット・リーヴス監督の意向によるもので、2年目のバットマンという本作の設定を踏まえ、ブルースが自分で作り上げたような車にしたそう。現実的な世界観とブルースの設定を両立した、理に適った設計といえるだろう。
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』には、そんなバットモービルがしっかりと活躍するド迫力のカーチェイスシーンも盛り込まれているので、その勇姿を劇場で目に焼き付けてほしい!
文/サンクレイオ翼