【第94回アカデミー賞】助演男優賞に続き、脚色賞は『コーダ あいのうた』に輝く!手話通訳者とステージに上がった監督、喜び爆発
現地時間3月27日(日本時間3月28日)に開催中の第94回アカデミー賞授賞式。脚色賞は、『コーダ あいのうた』のシアン・ヘダー監督にもたらされた。
『コーダ あいのうた』は、健聴者の少女と、耳の聞こえない家族が織り成す音楽を通じた物語を描いたヒューマンドラマ。主人公のルビー役を演じるのは、テレビシリーズ「ロック&キー」のエミリア・ジョーンズ。共演は『シング・ストリート 未来へのうた』(16)のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ。ルビーの家族を『愛は静けさの中に』(86)のマーリー・マトリンら実際に耳の聞こえない俳優たちが演じた。主人公・ルビーの耳の聞こえない父親役を演じた、自身もろう者である俳優トロイ・コッツァーが助演男優賞を受賞した。男性のろう者俳優の受賞は、史上初の栄誉となった。
手話通訳者とステージに上がったヘダー監督は、「オーマイ、ゴッド!」と驚きを口にした。「本作はインディペンデント映画として、製作に苦労しました。チームに感謝します。サンダンス映画祭からこの旅は始まりました。本作に携わることは、アーティストとしても人間としても人生が変わった経験です」と自身にとって大きな転機となったことを明かし、キャストやスタッフのたくさんの名前をあげながら精一杯の感謝を伝えた。さらに両親をはじめとする家族がくれた愛情についても触れ、「監督業と母親業は大変でもあったけれど、夫の支えがあった。あなたのおかげです」と大きな笑顔を見せていた。
初長編監督作品『タルーラ ~彼女たちの事情~』(16)が、サンダンス映画祭でプレミア上映され高い評価を受けたヘダー監督が、監督・脚本を務めた本作。2021年のサンダンス映画祭のグランプリ、観客賞、監督賞、アンサンブルキャスト賞の史上最多となる4冠に輝き、世界を沸かせた。各国のバイヤーが配給権に殺到し、サンダンス映画祭史上最高額の約26億円で落札されたことも話題となった。第94回アカデミー賞では、脚色賞だけでなく、作品賞でノミネートを果たし、助演男優賞(トロイ・コッツァー)を見事受賞した。
文/成田おり枝