井上和彦はマッツ・ミケルセンの口元、森川智之はジュード・ロウの目元に注目!宮野真守と『ファンタビ』アフレコ極意を告白
「ハリー・ポッター」魔法ワールド最新作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』の吹替え裏話付き舞台挨拶が4月23日に新宿ピカデリーで開催され、宮野真守、森川智之、井上和彦が出席。アフレコ裏話を明かしたほか、3人で“カニダンス”ポーズも披露して会場を大いに盛り上げた。
本作は「ハリー・ポッター」シリーズの前日譚で、魔法動物学者、ニュート・スキャマンダーの活躍を描く「ファンタスティック・ビースト」シリーズの第3弾。ニュートがダンブルドアや魔法使いの仲間たち、そしてマグルと寄せ集めのデコボコチームを結成。魔法界と人間界の支配を企む黒い魔法使い、グリンデルバルドに立ち向かう。この日は、エディ・レッドメイン演じるニュートの吹替版声優を務める宮野、ジュード・ロウ演じるダンブルドア役の吹替版声優の森川、マッツ・ミケルセン演じるグリンデルバルドの吹替版声優の井上がそろって登壇。宮野は「マブダチになりました。本当にめちゃくちゃいい人」と先日対面したエディの人柄について語り、「この作品が皆さんの心に残ることを願っています」と心を込めた。
ダンブルドアとグリンデルバルドの関係性にも注目が集まっているが、オススメのシーンを聞かれた森川は「グリンデルバルドとの最初のシーン。こんなシーンから始まるんですかというような、ドキドキするような会話劇からスタートする」とにっこり。「愛しているんだ」というダンブルドアのセリフをお見舞いすると、宮野が「フー!」と歓喜し、会場からも大きな拍手が上がる。森川は「2人の一言では片付けられない深い関係性が描かれていて、楽しめますね」と語っていた。
井上も「最初のシーンがお気に入り」とのこと。これまでにもミケルセンの吹替えを何作も担当してきた井上だけに、「いきなりしゃべらないで、まず(マッツの)顔が出てくるじゃないですか。うわ、来た!と思って。そしてマッツさんは、しゃべる寸前に口がパカッと開くんですよ。あれがセクシー」とマッツの魅力を分析。「そこにはなにも(台本に)入っていなかったんですが、ディレクターさんに『ちょっと息を入れていいですか』とお話して。やらせていただいた」と細やかなこだわりを込めたことを明かしつつ、グリンデルバルドの生セリフを披露して会場を沸かせていた。
また、グリンデルバルドに立ち向かう“秘密の作戦”が描かれる映画にちなみ、吹替えをする際の秘策を明かすひと幕も。宮野は「ゆらゆら」と書いたフリップを掲げ、ニュートがカニのような魔法動物のマンティコアを真似てダンスするシーンについて言及した。「エディの動きにシンクロして息遣いを入れたほうが、疲労感も(声に)乗るんじゃないかと思った。一人でしたが、マイクの前でずっとこうでした」とカニダンスをしてみせ、森川も井上も「すごいね!」と大爆笑。軸をブラさずに踊る宮野を見て、森川は「センターにあるマイクは、ずらさないように踊るんだね」と笑い、宮野は「これは声優の技!」と驚きのテクニックを見せつけて大きな拍手を浴びていた。
森川のフリップには、「目は口ほどに物を言う!」と書かれていた。森川は「ジュードが目でセクシーな芝居をするので、僕もマイク前でセクシーな目で芝居をしています。吹替えをする時は担当する俳優さんの口元を見たりするんですが、ジュードの場合は目を見て、口は見ない」のだとか。そして井上の秘策は「脱力!」だという。井上が「演じる前に、自分の余計な力を抜く。その役にシンクロさせる」と語ると、宮野は「それ極意!」、森川も「誰もがそれを目指す」と大きくうなずく。
井上は「マッツさんの場合は、なにを考えているのか、どんな演技プランを立てているのかわからない。たたずまいがそのまま役になっているから。どうするの?と思って、細胞からなにからマッツさんになろうと思った。僕はお腹だって出ているし、なれないんだけど(苦笑)。“なろう”という気持ちでじっと画面を見ていると、どういうことを考えているのか、どういう気持ちなのかが、なんとなくわかるような気がしてくるんです」と秘訣を吐露しつつ、「一緒ですね」と3人ともがシンクロ率にこだわっていることは同じだとコメント。井上の話に聞き入っていた宮野は「一心同体ということですね」、森川も「ファンタビ、ヤバい!完璧な吹替え版」とうれしそうな笑顔を見せていた。
取材・文/成田おり枝