“ハガレン”の壮大な物語がついに完結。『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』を最速レビュー!

コラム

“ハガレン”の壮大な物語がついに完結。『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』を最速レビュー!

やっと理解しあえた…。ホーエンハイムとエルリック兄弟の家族愛に涙

後半ではエド&アルと父親のホーエンハイムが、バラバラだった親子の絆を取り戻す姿が涙を誘う。内野聖陽が演じるホーエンハイムには、穏やかさのなかににじみ出る孤独感だけでなく、父親らしい愛情深さも感じられる。過去に家族の前から忽然と姿を消し、息子たちからは薄情な父親と憎しみすら抱かれていたが、それは人類の危機をいち早く察知し、家族に被害が加わらないようにするため。愛情があるからこその、苦渋の決断だったのだ。

ヴァン・ホーエンハイム&お父様、二役を演じる内野聖陽
ヴァン・ホーエンハイム&お父様、二役を演じる内野聖陽[c]2022 荒川弘/SQUARE ENIX [c]2022 映画「鋼の錬金術師 2&3」製作委員会

エドを演じた山田も「内野さんは原作のホーエンハイムのイメージのまま現場に居てくださったので、台詞のキャッチボールをする時も含めて演じやすく楽しかった」と語っているように、スクリーンの中の彼らはまさに本物の親子。前編では久しぶりに再会する父親に反発していたエドだが、ホーエンハイムの深い愛情を知り、少しずつ親子の絆を取り戻していく姿にじんとくる。“お父様”との最後の闘いでエドが「クソ親父!」と叫ぶ屈指の名シーンは、涙なくしては見られない。


山田涼介が作り上げた、完璧なエドワード・エルリック

「チャンスがあれば完結まで演じたい」という強い意欲のもと、徹底した体作りにも取り組んだエド役の山田。ビジュアルはもちろんのこと、アクションシーンから微細な表情まで、完璧なエドを演じ切った。『復讐者スカー』では、原作ファンにはおなじみのお茶目でかわいいポーズも披露し、まさに「漫画から飛び出してきた」と感じるほど。後編では最大の見せ場である、ラスボスにしてアメストリスを裏から支配する黒幕“お父様”との頂上決戦が描かれる。

前作から更に成長し、完璧なエドワード・エルリックを体現した山田涼介
前作から更に成長し、完璧なエドワード・エルリックを体現した山田涼介[c]2022 荒川弘/SQUARE ENIX [c]2022 映画「鋼の錬金術師 2&3」製作委員会

後編で山田はエド以外にも、若き日のホーエンハイムと、人間たちの魂を取り込んで完全な状態になった“お父様”の3役を演じる。いよいよ決戦の時、気持ちが高ぶるなか登場するのが、山田が演じる“お父様”の完全体の姿だ。人間に対してなんの感情も抱かず冷酷に徹しているキャラクターを見事に体現し、原作ファンを圧倒。そこにいるだけで強烈なエネルギーを放つ、山田の凄みを堪能してほしい。

そしてなんといっても、最後の闘いで見せるアルフォンスとのやりとりは、原作の感動をそのままに体現。兄弟の絆と絶対的な信頼を感じさせる、すばらしいシーンに仕上がっている。すべてを乗り越えてきたエドが最後に導き出した答え、そして完結までたどり着いたラストシーンの山田の表情を、ぜひスクリーンで確かめてほしい。

文/タナカシノブ

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