「進撃の巨人」「SPY×FAMILY」『バブル』のWIT STUDIOスタッフが語る、圧倒的な作画への探究

インタビュー

「進撃の巨人」「SPY×FAMILY」『バブル』のWIT STUDIOスタッフが語る、圧倒的な作画への探究

「手描きのアニメーションは表現を“盛る”ことができる」(村上)

――WIT STUDIOは手描きのアニメーションに定評があります。あのリアリティのある動きは3DCGと手描きを組み合わせて作られているのでしょうか?

浅野「『進撃の巨人』から変わらず、WIT STUDIOのアニメーターが動きのイメージラフを作成します。それを基に外部のCG制作チームにアニメーションを作ってもらい、それに手描きを合わせて調整していく流れです。『バブル』の場合はコンテの段階で荒木監督のイメージが固まっていたので、動きを得意とするアニメーターさんにイメージを共有します。さらにアニメーターさんが荒木監督のイメージを膨らませ、そのイメージに対してCGチームと打ち合わせをする…といったことをどんどん積み重ねていきます」

3DCGと手描きの組み合わせでより自由な表現に
3DCGと手描きの組み合わせでより自由な表現に[c]2022「バブル」製作委員会

――人や生き物だけでなく、建物や道具なども同じように作られているのでしょうか?

村上「はい。最近ではそういったものはCGで描くことが多いのですが、僕は手描きで動かしたいと思っています。なので、毎回手描きでもいいですか?と打ち合わせの時にお願いして描かせてもらっています」

――手描きアニメーションのよさとは?

村上「3DCGは物理計算をして計算通りの数値で作るため動きに嘘がなく、リアルな表現を得意とする手法です。一方、手描きは揺らぎがあり、嘘がつけてしまう。迫力や臨場感などの表現を“盛る”ことができるんです。アニメーション特有の動きを詰め込めるのが手描きのよさだと思っています」

浅野「手描きはアニメーターさんの自由な発想でいくらでも変化がつけられるので、アニメーションとしての心地よさというものをより感じられるんです」

縦横無尽のカメラワークや躍動感あふれるキャラクターたちの動きにも注目!
縦横無尽のカメラワークや躍動感あふれるキャラクターたちの動きにも注目![c]2022「バブル」製作委員会

「長尺カットの原点となったのは『進撃の巨人』です」(浅野)

――もう一つ、WIT STUDIOの作るアニメーションはアクションシーンの長尺カットも特徴的です。この表現にいたった背景をお聞かせください。

浅野「原点となったのは『進撃の巨人』です。Season1の制作時に立体機動装置のアクションシーンをどう表現しようか考えていたところ、アニメーターの今井有文という男が、同作のPVで誰も想像していなかったような動きを長尺カットで作ってしまい…(笑)。『立体機動装置のアクションはこういう動きなんだ!』と、ファンの方たちからの評判も非常によかったんです。その影響もあって、ほかのアクションアニメーターも長尺カットをどんどん取り入れるようになりました。そんななか、アクション作画監督の江原(康之)さんが担当した第11話で“伝説の18秒”と呼ばれる長尺カットを生みだしたのですが、これがまた評判がよく、それで今井くんに火がついて競い合いが起きたんです(笑)。そしたら、長尺カットを見たアニメーターさんがさらに『進撃の巨人』に参加するようになり、いまの表現にいたっています」

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