「ドラゴンボール」ピッコロの波乱万丈すぎる歩みを解説。大魔王から復讐者、そして宿敵の息子の師に…
ナメック星人同士の融合でパワーアップ
ベジータ&ナッパとの戦いで生き残ったクリリンと悟飯は、ドラゴンボールが神、つまりナメック星人の能力で創造されたことを一縷の望みに宇宙へ、はるかナメック星へ向かう。その間、死後の世界で地獄行きを逃れたピッコロは、さらなる成長を遂げるべく悟空も修行を積んだ界王の住む界王星で復活の機会を待つ。
そして、ナメック星で同じくドラゴンボールをねらうフリーザ軍と対峙した悟飯&クリリンの尽力で復活、ナメック星にやって来たピッコロは、ナメック星人の戦士ネイルから、ナメック星人同士で同化(一体化)することで大幅にパワーアップできることを知り、瀕死状態だったネイルと同化する。この頃のピッコロはネイルの記憶も混ざり、かつての“悪の心”はほとんど失われ、弟子である悟飯への思いが行動に反映されることも。
ナメック星での顛末は、超サイヤ人に覚醒した悟空がフリーザに勝利で幕を閉じるが、今度はレッドリボン軍が作り上げた人造人間が地球を混乱に陥れる。無尽蔵のパワーを有する人造人間17号&18号、未来からやって来た人造人間セルに挑むべく、“悪の心”が消え去ったピッコロと神は同化し、元の一人のナメック星人へ回帰する。
この結果、ピッコロは戦闘能力のパワーアップに加えて神の知識と冷静さを引き継ぎ、セルとの戦いでも相手を欺き情報を引き出す頭脳戦を展開。超サイヤ人以上の戦闘力を獲得し17号にも匹敵するパワーを発揮した。また、セルとの戦いの後、ナメック星人の少年デンデが新しい地球の神となったことで、ピッコロは神としての立場から解放され、悟飯たちと共に一人の戦士として地球を守る道を歩み始めた。
より指導者的な存在、家族のような存在へ
神と同化したピッコロは、魔人ブウとの戦いで降臨した界王神と悟空たちの間で立ち回り、悟空のもう一人の息子、孫悟天とベジータの息子、トランクスに融合してパワーアップする能力「フュージョン」を伝授するなど、より指導者的な立ち回りを担っている。悟飯との交流はより深くなり、親類のような関係へ発展。悟飯の娘パンにも懐かれ面倒を見る姿も見られるように。絶対悪として誕生したピッコロは、こうして悟飯のもう一人の父親とも呼べる存在となったのだ。
そして『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』では、成長したパンに修行をつける師匠であり、レッドリボン軍にさらわれた彼女を救うべく、因縁の人造人間のニューカマー、ガンマ1号&2号と激突。二度の同化を超える覚醒も描かれ、悟飯との師弟の関係性、そして共闘と、ドラマでもバトルでも大いに活躍し観る者を楽しませてくれる。原作者、鳥山明渾身のシナリオによるピッコロの新境地をぜひスクリーンで確認してほしい。
文/石井誠