女優IUの魅力から“是枝作品らしさ”まで。韓流ファン、塚地武雅が『ベイビー・ブローカー』にグッと来た理由を熱弁!
「純粋無垢な子どものセリフに、大人たちがグッとくる」
一方で、登場人物たちが一台のバンに乗り込み、赤ちゃんの養父母を求めて移動し続ける珍道中の様子は、まさにユーモラスなロードムービー。社会的なテーマを説教臭く描くのではなく、エンタテインメントとして見せる手腕も是枝作品ならではだ。
そのなかで、途中から旅に加わる少年ヘジンを「本作における、いわばムードメイカー的な存在」と絶賛する塚地。「あの少年の役回りは大きかったですね。純粋無垢な子どものセリフに、大人たちがグッとくるというのは、是枝作品らしいと思います」。
なんの計算もない、いかにも子どもらしいヘジンの言動は、結果として登場人物たちの本音を引き出していく、重要な役割を担っている。「歯に衣着せず、思ったことを全部口にしちゃうんです(笑)。ソヨンに『お姉ちゃん、好きだ!』みたいなこととか、『かわいいね』とか、サラッと言っちゃう。旅している最中の言い合いなどは、どれもこれも本当におもしろくて」。
「IUは、スター性とか、彼女らしい品のよさを完全に消していた」
本作のヒロインとも言えるソヨン役を演じたイ・ジウンは、韓国では老若男女を問わず、絶大な知名度と人気を誇り、“国民の妹”、“K-POPクイーン”、“CM女王”など数々の異名を持つ。もともとIUのファンである塚地は、女優としての頭角を現したころから、本作における彼女の魅力を熱心に語る。
「彼女が2011年にドラマ初出演した『ドリームハイ』では、ちょっと肥えた特殊メイクもして(笑)。あとはやっぱりドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』は大きかったですね。IUには華やかなイメージがありましたけど、暗い陰のある女の子役がハマっていて、こんな表現ができるんだなと驚きました」。
本作でのソヨン役は「さらにその魅力を強く感じさせるものだった」という。「スター性とか、彼女らしい品のよさを完全に消していて。染めているパサパサの髪など、メイクや衣装のスタイリングもありましたが、ちょっと荒んだ感じの女性の見た目が違和感ないというか。本当にそういう子に見えたのは、女優“イ・ジウン”としての、IUの演技力の賜物だと思いましたね」。