アナキンとの師弟愛に、エピソード4へとつながるリンクも…最終回を迎えた「オビ=ワン・ケノービ」を3人の編集長が総括!
「オビ=ワンが救われた感じもすごくあって、僕的にはスッキリした」(西川)
下田「このドラマシリーズにはどんな考察があるのか調べていたのですが、6話それぞれが、プリクエル(エピソード1~3)とオリジナル(エピソード4~6)にリンクしている説もあるらしいんです」
西川「本当にそうだとしたらすごいし、検証したくなるね」
下田「セリフのリンクとかがあるみたいですよ」
佐藤「そういうところが、何度も観たくなるおもしろさだったりするんだよね」
西川「全体を通してオビ=ワンの贖罪の話でもあるから、オビ=ワンの『I’m sorry(すまない)』に対して、ダース・ベイダーが『I am not your failure(悔いる必要はないぞ)』と返すところは、言われた側はショックだろうけど、救われた感じもすごくあって、僕的にはスッキリしました。でも、あの言われ方は嫌です(笑)」
下田「あのシーンでちょっと和解するのかな?と見せかけての、ダース・ベイダーの突き放すようなセリフも、嫌な感じでしたね」
西川「このドラマが一番難しいのは、その後の展開が決まっているところですよね。エピソード4以上のエモーショナルな展開はできないし、抑え目にしておく必要があるところも難しかっただろうなと思います。ちなみに、2人はどの映画が好きですか?世代によっても違うし、ドラマシリーズも次々と製作されるので、どこから入るかで『スター・ウォーズ』の捉え方って変わってくるのかなと考えています。僕はエピソード3のムスタファーの戦いがダントツに好きです」
佐藤「やっぱりオリジナル三部作かな。『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』は小2の時に映画館で観ているし。途中から入ったら、R2-D2とC-3POが洞窟っぽいところにいるシーン(冒頭にあるジャバ・ザ・ハットの宮殿を訪ねるシーン)で。場内が暗いから本当に洞窟にいるような、ワクワクする気分になったんだよね。それが『スター・ウォーズ』の原体験だったよ」
西川「うわ、めっちゃいい話じゃないですか」
佐藤「その後は、年に1、2回は金曜ロードショーなどで放送していた影響が強くて、20年くらいずっとコンスタントに触れてきた作品だったな」
西川「僕のかみさんは『マンダロリアン』とか『ボバ・フェット』から入って、いまやっと『オビ=ワン・ケノービ』にたどり着いたところです」
佐藤「まだ、映画本編に行ってないんだ!」
下田「私は『スター・ウォーズ』好きの父に連れられて観た『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』が入り口です。小6くらいだったかな。“元老院議員”とか“不信任決議案“とか、難しい政治の話をしている印象が強くて…」
西川「最初の30分くらいは、話が難しいですよね」
下田「難しいところもあったけれど、かわいいグッズとか買ってもらって。そこから時系列で追っていきました。でも、『オビ=ワン・ケノービ』は前後の映画の知識がなくても楽しめるドラマシリーズだと思います」
佐藤「プリクエルを復習せずに観ても、まったく問題なかった。細かいところは結構忘れていて、ストーリーの本筋は覚えているくらいでも十分に楽しめたかな」
西川「観ておいたほうがより楽しめるけれど、観ていなくても大丈夫なのは、人にオススメしやすくていい。オビ=ワンとダース・ベイダーの関係性を詳しい人からコンパクトに説明してもらうくらいで十分に楽しめると思います」
「リハビリ期間中のオビ=ワンに対しても、『時間が必要だよね』と見届けたい気持ちがあった」(下田)
下田「改めて、このドラマシリーズを通しておもしろかったところはどこですか?」
佐藤「オビ=ワンとダース・ベイダーの戦いが、不完全燃焼なバトルではなかったこと。ちゃんと結論が出て、しかもしっかりエンタテインメントになっているところがよかった」
西川「序盤の、オビ=ワンがレイアを助けに行くという話の全体像が見えた時、エピソード4とのリンクを感じたところに、テンションが上がりましたね。ドラマをやる意味もここにあったと思います」
下田「序盤はオビ=ワンが強くないという感想もよく耳にしましたが、私はヨボヨボであまり強くない、リハビリ期間中のオビ=ワンに対しても、『時間が必要だよね』と見届けたい気持ちがありました。ダース・ベイダーとの感情を口にしながら戦うシーンは、『今回もよくしゃべっているなあ』と思いつつも、グッとくるところはたくさんありました。サービスシーンたっぷりのドラマだなと満足しながら追うことができましたね。オビ=ワンに次の世代を育てる指導者という雰囲気も戻ってホッとしました。最初はヨボヨボすぎて、どうなることかと思ったけれど(笑)」
西川「頼れるはずの人が、しょぼくれている感じはファン的にはどうなんだろうと思って、ちょっと調べたんだけど、オビ=ワンの涙目や前髪を乱して戦う姿が話題になっていましたね」
佐藤「ぱらっと髪が乱れるのは珍しいみたいだね。僕もオビ=ワンの髪型遍歴特集をしていた海外の記事を読んで知りました」
下田「弱いところにはガッカリしなかったです。むしろ、『回復を待つよ』と付き合う気持ちになりました。かっこいいだけじゃない、弱い面もある人間らしくて優しい主人公も私は結構好きでした!」
構成・文/タナカシノブ