豊川悦司に小澤征悦、渋川清彦らの熱演が光る!若手を支える『キングダム2』の演技派俳優たち

コラム

豊川悦司に小澤征悦、渋川清彦らの熱演が光る!若手を支える『キングダム2』の演技派俳優たち

独特の感性による本能で動く変わり者の大将軍、麃公

なかでも、本作から参戦した次の3人には特に注目したい。まずは、信の初陣の総大将でもある秦国の大将軍、麃公(ひょうこう)を演じた豊川悦司だ。麃公は六大将軍にも引けをとらない力を持ちながら最前線に居続ける変わり者。戦を炎に例えて表現し、その匂いをかぎ取って本能で動く独特の感性を持っているが、豊川はそんなユニークなキャラクターの髪型や髭、眉毛などのビジュアルを佐藤信介監督と綿密に構築。その迫力のフォルムを完全に自分のものにすると、劣勢なのにいつまで経っても前線に指示を出さず、のらりくらりと戦況を見守るなにを考えているのかわからない麃公をユーモラスに快演! 側近たちをも煙に巻く、強烈な存在にしてしまった。

大きな矛を振るう豊川悦司が演じる麃公大将軍
大きな矛を振るう豊川悦司が演じる麃公大将軍[c]原泰久/集英社 ©2022映画「キングダム」製作委員会

戦局を冷静に判断し、的確に軍を指揮する戦の天才、呉慶

そんな麃公と熾烈なバトルを繰り広げる敵軍=魏国の総大将、呉慶(ごけい)に扮した小澤征悦も存在感では負けていない。彼が演じた呉慶は魏国が誇る戦の天才と評される将軍。麃公とは対照的に、戦局を冷静に判断し、的確に軍を指揮するキャラクターだが、白塗りに赤のラインが入ったメイクが強烈で、キャストを事前に知らなければ小澤とは気づかないほどの迫力だ。勝利を信じて疑わない、勝ち誇ったような表情にただただ圧倒されてしまう。

魏国が誇る魏火龍七師の一人で、冷静に戦局を分析し、的確に大軍を操る呉慶
魏国が誇る魏火龍七師の一人で、冷静に戦局を分析し、的確に大軍を操る呉慶[c]原泰久/集英社 ©2022映画「キングダム」製作委員会

自らが先頭に立って敵陣に突っ込む荒々しい千人将、縛虎申

そんな両軍の総大将とともに、今回大きな注目を集めることになりそうなのが、信の初陣の上官、縛虎申(ばくこしん)を演じた渋川清彦だ。縛虎申は麃公軍所属の千人将(千人の兵を持つ武将)で、血の気が多く、口答えする者を容赦なく斬りつける荒々しい性格。向こう見ずなところもあって、とんでもない数の人馬が牙を剥く敵陣に突っ込んでいくムチャな戦法を自らが先頭に立って実行に移していくものだから、命がいくつあっても足りない。そんな危ない男を渋川は彼にしか出せない独特な空気とハイテンションでまんまと成立させ、最終的には魅力的なキャラにしているから驚く。


渋川清彦の熱演が光る縛虎申
渋川清彦の熱演が光る縛虎申[c]原泰久/集英社 ©2022映画「キングダム」製作委員会

そう、本作のクライマックスとなる蛇甘平原の戦いは、信や羌瘣ら若手の活躍だけではなく、戦そのものを動かす歴戦の猛者たちの頭脳戦も大きな見どころになっている。初陣にもかかわらず意外な活躍を見せる信たちに興味を持つ麃公はいつ動くのか?迷うことなく大軍で攻め込んでくる呉慶のその自信はどこからくるのか?最前線で無謀としか思えない突撃を強行する縛虎申の真意は?

秦国の最前線に居続ける変わり者と言われているが、六将にも引けをとらない実力を持つ麃公
秦国の最前線に居続ける変わり者と言われているが、六将にも引けをとらない実力を持つ麃公[c]原泰久/集英社 ©2022映画「キングダム」製作委員会

そんなスリリングな駆け引きが、いずれ劣らぬ演技派俳優たちの周りをも欺く巧妙な芝居と繊細な表情で繰り広げられるから一瞬たりとも目が離せない。日本映画を支えてきた男たちが、『キングタム2 遥かなる大地へ』を単なるアクション・エンタテインメントではなく、さらなる高みへと押し上げているのだ。

文/イソガイマサト

※山崎賢人の「崎」は立つ崎が正式表記

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