続編も決定!ルッソ兄弟が語る『グレイマン』の舞台裏「銃が与える精神的な影響についても、きちんと伝えようと思った」
「銃が与える精神的な影響についても、きちんと伝えようと思いました」(アンソニー)
――ダニ・ミランダ役のアナ・デ・アルマスは、『ブレードランナー 2049』でもゴズリングと共演していますし、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』での立ち回りも話題になりました。今回はコートに引けを取らない痛快なアクションシーンの見せ場が多かったですね。
ジョー「アナはいまや世界的に注目されている女優です。カリスマ性があり、とてもタフだし、仕事に向き合う姿勢も真摯で、今回もしっかりとトレーニングを積んでくれました。ミランダを男性に一切頼らない強い女性として描きたかったので、劇中でもかつての男女の役割が逆転するようなシーンを入れました。男性が女性を救うのではなく、ミランダがコートの命を何度か救っていきます。そういう強さを演じ切れる女優を見つけることがとても困難でしたが、アナは見事に僕たちの期待に応えてくれました」
――コートが命懸けで守ろうとする少女クレア役のジュリア・バターズもみずみずしい存在感を発揮していました。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではレオナルド・ディカプリオと堂々渡りあっていましたが、今回のゴズリングとの掛け合いも最高でした。
ジョー「彼女も才能にあふれた将来有望な女優です。クレアというキャラクターは、この映画のいわゆる魂とも言える存在で、映画を観ている我々もコートに彼女を守り抜いてもらいたいと願うから、いわば作品のエンジンでもありました」
――特にコートが追っ手に銃を向ける時、クレアに銃声を聞かせないように耳栓をさせるシーンが印象深かったです。アメリカでは銃規制についていろんな議論が交わされてきましたし、日本でも痛ましい事件もあったばかりです。あのシーンに込めた想いとは?
アンソニー「日本で起きた事件は、本当に悲劇だと思いましたし、私たちもその一報を聞いて悲しみました。映画ではサウンドデザインでいろいろな効果音が出せますが、それは実際の銃声を聞いたり、本物の銃に触れたりする経験とは比較できません。もしも実際にそういう経験をしたら、感覚的にものすごい影響を与えると思います。銃が与える精神的な影響については、原作でも細かくリサーチをされていたので、我々も新鮮に感じたし、そこもきちんと伝えようと思いました」
ジョー「コートは人を平気で殺していくという非常にシニカルな世界で生きていますが、クレアは彼とは対照的で、純粋無垢なものを象徴している存在です。だからこそコートはなんとしてでも彼女の暴力から守りたいという気持ちが強くなります。つまりコートの繊細さを示すためにも、あのシーンはかっこうの見せ場だったと思います」
――最後に、お2人がマーベル作品から離れられて3年が経ちますが、その間の道のりと、日本のファンが気になっている「ガッチャマン」の映像化プロジェクトについても進捗状況を聞かせてください。
アンソニー「実に心躍る3年間でした。『~エンドゲーム』を終わらせたあと、小規模の作品でしたが誇り高い退役軍人の話『チェリー』を撮り、そのあとで『グレイマン』を作りましたが、こちらは規模感も含めて非常に野心的な作品となりました。そして秋からは、またクリストファー・マルクスとスティーヴン・マクフィーリーが脚本を手掛けた、グラフィックノベルが原作の映画『エレクトリック・ステイト』の撮影が始まります。
『ガッチャマン』は『Battle of the Planets』という英題ですが、その撮影は我々も楽しみにしています。子どものころから大好きな作品なので、今回は『ガッチャマン』の要素や物語を用いて、新しいライブアクションの映画を作れることを大変誇りに思っています。まだ開発段階ですが、実写映画を作る予定なので、良い作品を作れるように頑張ります」
取材・文/山崎伸子