コリン・トレボロウ監督が明かす、「ジュラシック・ワールド」完結への想い「人と恐竜は絆を持つことができる」

インタビュー

コリン・トレボロウ監督が明かす、「ジュラシック・ワールド」完結への想い「人と恐竜は絆を持つことができる」

「シリーズのテーマは、恐竜と人間は絆を持ち得るのか、ということです」

本作最大のトピックは、「ジュラシック・パーク」シリーズのエリー・サトラー博士(ローラ・ダーン)、アラン・グラント博士(サム・ニール)、イアン・マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)が再登場し、オーウェンとクレア、メイジーをめぐるドラマに深みと新たなる広がりを加えていることだ。この誰もが観たかったであろうサプライズについては、「スピルバーグ監督と脚本執筆中にすごく話し合いました」と振り返る。

「シリーズのほかの作品とは違うテイストのものにしたいという気持ちもあったし、2つの物語が併走していって、それが最後に一緒になるという構成は最初から決まっていました。その際にスピルバーグ監督が何度も繰り返し言っていたのは、壮大なアドベンチャーでアクションやスペクタクルが満載の映画ではあるけれど、キャラクターたちが決してその陰にならないように、ということ。『特にエリーたち、レジェンドの3人のことを決して忘れないように!』と強く念を押されましたね」。

レジェンドキャストが集結!
レジェンドキャストが集結![c]2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

だからと言って、本作ではレジェンドの3人を必要以上に特別扱いはしない。それどころか、こんなことまでやらせるの?と思うような肉体的にも精神的にも過酷なアクションを強いているからビックリ扨せられる。だが、そこにもちゃんと監督の意図があったのだ。

「ローラたちにもアクションをしっかりやってもらうことは、とても大事にしていたことです。何故なら、旧3部作に比べて新3部作の方がアクションが多い。つまりクリスとブライスが築き上げたアクションのレベルまで来てもらわなければいけなかった。それに、メインのストーリーはオーウェンとクレアが娘のようなメイジーを救出しにいくものですけど、そこと交錯し、呼応する世代間を超えた物語を描くことも狙っていたから、アクションも同じレベルに達する必要があったんです」。

俳優陣による激しいアクションも本シリーズの見どころ
俳優陣による激しいアクションも本シリーズの見どころ[c]2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.


撮影はコロナ禍で行われたため、スタッフとキャストは撮影期間中は同じホテルで寝食を共にしたが、そこでは、その特別な環境だからこそ生まれたものがあったことを打ち明ける。

「それぞれのキャストに自分の役のセリフを書いてもらったんです。僕たちが与えたセリフではなくてね。それで、みんなが集まる日曜日に、例えばジェフが『こういうセリフがあるんだけど…』って発表したりして。それがいいものであれば使うという方法をとったので、会話がとても自然になりました」。

では、監督自身が今回挑戦したことは?と尋ねると、「最初に話したことと重なるけれど、旧3部作と新3部作を通じて、人間が犬や馬などと同じように、恐竜とも絆を持ち得るんだということを描きたかったんです」という熱い想いを口にした。

本作では、ブルーの子どもであるベータが活躍する
本作では、ブルーの子どもであるベータが活躍する[c]2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

「特に今作では、恐竜にも人間的な要素を持たせていて、自分の子どもが奪われるという悪夢のような悲劇が双方に起きるわけです。そうしたドラマを経て、最後に人間と恐竜の絆をエモーショナルな形で見せたくてあのラストシーンになったんです。とてもリスキーでしたが、個人的には成功したと思っています」。

「新しいシリーズでは、本作の新キャラクターが活躍するかもしれませんね」

話を聞けば聞くほど、監督の恐竜愛がひしひしと伝わってくる。それで気になって、「一番好きな恐竜は?」と聞いてみた。すると「テリジノサウルスですね」と即答。「この恐竜は謎なんです。肉食の動物のような大きな爪を持っているんだけど、草食の恐竜ですからね。なにを食べるのにそれがいるのか、未だに分からない(笑)」。
 
そんなドラマチックな謎がまだ残っているのなら、シリーズを終わらせなくてもいいのではないか。それこそ本作が大ヒットしたら、また新たなシリーズが始まるのでは?そんなファンが気になっている疑問を投げかけると、「観客が今回の作品も評価してくれて、大ヒットしたら作る可能性はあると思います」と笑みを浮かべる。

ディワンダ・ワイズが好演したケイラ
ディワンダ・ワイズが好演したケイラ[c]2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

「でも、エリーを始めとしたレガシー・キャラクターやオーウェンとクレアの物語はこれで終わりかもしれない。ただ、今回パイロットのケイラを始めとした新しいキャラクターを登場させていますよね。みんなドラマの作り甲斐があるキャラなので、もしかしたら彼らで新しいシリーズを、ということは考えられますね」。

そう言って、さらなる期待を持たせてくれたトレボロウ監督。「パンデミックを超えて、映画館で再び映画が観られる世界になったことは本当にうれしいことです。本作は家族で観ていただきたいと思って制作しているシリーズなので、家族みんなで映画館に来てほしいですね」と最後に寄せてくれた。

フィナーレを是非、劇場で!
フィナーレを是非、劇場で![c]2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

恐竜と人間をめぐる壮大なドラマを、30年にわたってテクノロジーの進化と重ね合わせて視覚化してきたこのシリーズは、映画館で観てこそ意味があるものだ。映画史に刻まれるであろうグランド・フィナーレを、ぜひ映画館の大スクリーンで見届けて欲しい。

取材・文/イソガイ マサト

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