古川琴音が「映してもらってよかった」と感じた“泣き顔”。演技に誠実な女優が、撮影現場で得たものとは?

インタビュー

古川琴音が「映してもらってよかった」と感じた“泣き顔”。演技に誠実な女優が、撮影現場で得たものとは?

そんな古川に“自身を取り巻く環境の急激な変化”について聞いてみたところ、「自分では特に感じていないですし、得てきたものがちゃんと実っているのかもまだ実感できてないです」と話す一方で、「でも、技術的なものは少しずつ身についてきたかな」と自覚する。

「常に地に足がついた状態でいたいなあと思っています」

「今年出演したブロードウェイミュージカル『INTO THE WOODS』や、これからNHKで放送される特集ドラマ『アイドル』では、歌や踊りもやりました。体を鍛えるという面では、鍛えたからこそできる表現が増えている気がしますし、知識と経験が積み重なってきているなという感覚はあります。とはいえ基本的には現場ごとにスタッフさんから共演者の方からみんな違うので、全部の仕事がゼロから始まる感じです。稽古期間が長い舞台と違って、映像の場合はクランクインを迎えるまで毎回不安だし、“飛び込む”っていう意識が強いです」

自分の言葉と作品に誠実な古川琴音、NHK特集ドラマ「アイドル」が本日放送
自分の言葉と作品に誠実な古川琴音、NHK特集ドラマ「アイドル」が本日放送撮影/垂水佳菜

インタビューなどで自分の意見を求められる機会は格段に増えたそうだが、「最初のころは、なにも話せなかったんです」と苦笑する。「きっと、私はなにが好きで、なにが嫌いなのか、その理由が自分でもよくわかっていないまま、自分の言葉じゃない言葉でしゃべっていたんだって、ある時気付いたんです。それ以来、例えば『これ、私すごく好き!』と感じた時も『これのどんなところに私は惹かれてるんだろう?』って、その都度考えるようになりました」。


「さっき、“真織のように日記はつけていない”と言ったんですが、私の場合、『この前こういうことがあって、私はこう思った』って、親友に文字で伝えることが多いかもしれません。自分以外の誰かにその当時の状況や感情を説明することで、客観的に見られるようになって、『あ、私はこれが嫌だったんだ!』って気付けることも意外と多かったりするんです」

真織を共に支えていく、“同志”のような間柄になる透と泉
真織を共に支えていく、“同志”のような間柄になる透と泉[c]2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

そんな古川の“好き”or“嫌い”をジャッジするポイントは、どこにあるのだろうか。「“自然体であるかどうか”が、いまの自分にとって一番重要なような気がしています。あるがままかどうかというのがすべての基準になっているというか。インタビューを受けている時も、ついカッコつけたことを言おうとしちゃう自分がすごく嫌いで、あとから思い出してモヤモヤしたりするんです(笑)。常に地に足がついた状態でいたいなあと思っています。いまは目の前のことに一つ一つ真剣に向き合っていきたいです」。

取材・文/渡邊玲子

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