21年ぶりに帰って来たアラン・グラント博士!「ジュラシック」シリーズでの活躍や古代生物への愛たっぷりな人物像に迫る
インディ・ジョーンズ風のファッションでおなじみ
グラント博士と聞いてまず思い浮かぶのが、中折れ帽とブルーのデニム地のシャツ姿だろう。ハモンドの孫で博士の大ファンでもあるティム(ジョゼフ・マゼロ)がよく似たシャツを着ていたことからも、これが彼の“正装”らしい。もちろん、『~新たなる支配者』でもブルーのデニム姿で登場する。また、スピルバーグ作品で中折れ帽といえば冒険家で考古学者のインディ・ジョーンズを思い出す人も多いだろう。最新作では、グラント博士が松明を手に危険な洞窟を進む『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』(81)よろしくの見せ場もある。ちなみに、当初スピルバーグはグラント役にハリソン・フォードを想定していたが、フォードに断られたという経緯がある。
テクノロジー嫌いなグラント博士が、もう一つ苦手なのが子ども。発掘現場で恐竜なんか怖くないと軽口を叩いた少年に、大人げなくもラプトルの怖さを生々しく言い聞かせて震え上がらせていた。この“子ども嫌い”は映画オリジナルの設定。原作での彼は「恐竜好きの同志」として子どもを愛する人物だったが、スピルバーグとのコンビで知られる名脚本家デヴィッド・コープによって書き換えられた。コープは子どもが苦手なグラント博士が、レックス(アリアナ・リチャーズ)とティムを連れてパークで大冒険をするなかで、父性に目覚めていく姿を丁寧に描写。このサブプロットによって、彼はより共感を呼ぶキャラクターになったのだ。子ども嫌いの克服は、サトラーの幼い子どもと遊んだり、行方不明の少年捜しに巻き込まれる『ジュラシック・パークIII』でも生かされた。『~新たなる支配者』でも、誘拐されたメイジー(イザベラ・サーモン)を優しく気遣う姿が印象的に描かれている。
実在の古生物学者がモデル
そんなグラント博士にはモデルがいる。数々の受賞歴を誇る古生物学者ジャック・ホーナーである。原作者マイケル・クライトンは、恐竜が子育てをしていることを発見したホーナーを下敷きにグラント博士の人物像を作り上げており、映画化の際にスピルバーグは彼を古生物コンサルタントとしてチームに招いている。水辺に集まった恐竜の群れを見たグラント博士が、「思ったとおりだ」と口にしているが、これはホーナーを意識したセリフ。結局ホーナーはシリーズ全6作に協力し、『ジュラシック・ワールド』(15)ではオーウェン・グレイディ(クリス・プラット)がラプトルに餌を与えるシーンでカメオ出演していた。