奥華子、変わらぬ歌声でファンを魅了!『竜とそばかすの姫』公開1周年記念「スタジオ地図シネマティックオーケストラ 2022」レポート
細田守監督のアニメ作品をテーマにしたコンサート「スタジオ地図 シネマティックオーケストラ2022 ~『竜とそばかすの姫』公開1周年記念~」が8月14日、東京国際フォーラムにて開催された。9月23日(金)には、本編ノーカットでの地上波初放送も控えている『竜とそばかすの姫』。本稿では、細田作品の真髄を“音楽”でたっぷり堪能させてくれたイベントレポートをお届けする。
スタジオ地図として初となる本オーケストラコンサートでは、細田監督の『時をかける少女』(06)や『竜とそばかすの姫』(21)など全6作品より、各作品の名場面を大スクリーンに映しだし、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏、華やかな照明演出とあわせて堪能することができた。
コンサートは2部構成。まず第1部で演奏されたのは『バケモノの子』(15)『おおかみこどもの雨と雪』(12)『サマーウォーズ』(09)の楽曲。『バケモノの子』『おおかみこどもの雨と雪』の音楽を担当した高木正勝がピアノ演奏で出演し、優しい音色が会場を包み込む。冒頭から、あちこちで涙を拭う観客の姿が見られ、そして、曲が終わるごとに割れんばかりの拍手がコンサート会場に響き渡っていた。
『バケモノの子』からは「祝祭」「三千世界の迷い子」「充たされた子ども」「胸の剣」の4曲、『おおかみこどもの雨と雪』からは「ほしぼしのはら」「きときと - 四本足の踊り」「雨上がりの家」の3曲と、アン・サリーがゲストボーカルとして参加した「おかあさんの唄」が披露された。ここで涙腺崩壊したファンが多かったようで、会場のあちこちからすすり泣く声も聞こえていた。続く『サマーウォーズ』からは「仮想都市OZ」「KING KAZMA」「栄の活躍」「1億5千万人の奇跡」「The Summer Wars」が演奏され、リズムに乗せて楽しそうに身体を揺らす人々の姿が多く見られた。
第2部は『未来のミライ』からスタート。演奏されたのは「ミライのテーマ」「Trans Train」「Marginalia Song」「Of Angels」。くんちゃんが小さな庭から時を超える大冒険を、生演奏による音楽に背中を押されながら、再び体感することができた。続く演奏は『時をかける少女』より、「夏空」「スケッチ」「少女の不安」「からくり時計〜タイムリープ」。そして、2年8か月ぶりにライブに参加となった奥華子がゲストボーカルとして登場し、本作の挿入歌「変わらないもの」を披露。登場から拍手がなかなか鳴り止まないほどファンは大興奮。オーケストラをバックに、変わらぬ歌声で歌う姿に、涙が止まらない様子のファンも多かった。真琴の「いっけぇぇぇええ!!」のセリフからの「変わらないもの」の前奏はたまらない瞬間だった。
コンサート最後は『竜とそばかすの姫』のコーナーへ。本コンサートは『竜とそばかすの姫』公開1周年を記念して開催されたこともあり、本作からは「U」「歌よ」「竜の城」「心のそばに」「素顔」「はなればなれの君へ」など計6曲を披露。オーケストラによる「U」の演奏では、歌姫Belleのライブ会場にいるような感覚に誘われ、コンサート終わりには「Belleも生歌で聴きたかった」という声もあちこちから聞こえた。オーケストラと映像のBelleとの相性は抜群であり、仮想世界<U>の世界を堪能という意味では最高の空間、演出だった。
アンコールでは『サマーウォーズ』から「Overture of Summer Wars」、『時をかける少女』から「ガーネット」が披露された。「ガーネット」で再び奥の歌声を聴くことができたファンは、大満足といった様子で会場を後にしていた。
取材・文/タナカシノブ