Official髭男dismの楢崎誠に単独インタビュー！『異動辞令は音楽隊！』主題歌制作秘話やバンドへの想いまで

「異なるジャンルに飛び込んで一緒になにかをやるのはおもしろいです」

主題歌の作詞・作曲を手掛けたほか、終盤の音楽隊演奏シーンでカメオ出演をしている楢崎。「中心で作っている方々がクリエイティブなことに対して前向きな感じがあり、伸び伸びとできました。現場の雰囲気はとてもよかったです」と当時の様子を振り返った。映画や舞台のチームと関わり、一緒にものを作りあげていくことは刺激的だったという。「異なるジャンルに飛び込んで一緒になにかをやるのはおもしろいです。出会ったことがない人たちと一緒に、熱量を持っていいものを作るということは自分の知見を広げることにつながるし、とてもいい経験になる」。

そんな楢崎は、2022年7月に「ギミトリックバード」で舞台へも初挑戦している。舞台での芝居経験を経て、演じることへの興味を聞くと「“自分ではない誰かになる”というおもしろさみたいなのはあるんです。普通だったら怒らないところで怒ったりとか、悲しまないところで悲しんだりとか。でも、ライブや音楽隊での演奏でも、なんだかんだ1、2曲目くらいまでは演技しているんですよね」と、舞台を経験して、普段からアーティストである自分を演じている部分があるという気付きがあったようだ。

しかし、「映画や舞台やお芝居をやっている人たちのことは好きだけど、僕は役者として活躍したいという気持ちはまったくないです。Official髭男dismから興味を持ってくれた人たちが、僕が関わることでほかの文化に興味を持ってくれたらうれしいという想いで(バンド以外の活動を)やっています」と率直な気持ちを述べ、「今後も自分が加わることでいいことが起きそうだったり、おもしろいことができそうだったらやりたいですね。僕はプロジェクトのなかのエンジンではなく、どこかのいい感じのパーツなんだと思います。中間管理職的なところが自分の役割的にしっくりくるんです」と、自身のことを客観的に振り返る。

「Official髭男dismの果実的なものをみんなで食べることができたら」

これからの活動がますます気になる楢崎に、いろいろなことへ挑戦する原動力や今後の展望を聞くと、「これまでは“バンドのために”という感覚でずっとやってきていたんです。でも、Official髭男dismがバンドとしてすごく大きくなってくれたので、最近はバンドの存在に助けてもらうことが増えてきた気がします。いままではバンドを大きくするために、自分のライフポイントを使っていた感覚だったんですけど、いまは自分が動く時に助けてもらうような共生状態になってきていて。自分の人生とバンドが互いに助け合うみたいな形でやっていけたら」と述べ、改めてバンドと自身の関係を見つめ直した。

「ライブはみんなが見たいと思っている時期に見てもらうべきだし、曲は聴きたいと思ってもらっている時に作ったほうがいい。おいしく食べていただけるうちに、おいしく食べてもらいたいですね。いまはちょうどバンドがおいしい時期なので、いろいろな挑戦をすることで実る、Official髭男dismの果実的なものをみんなで食べることができたらいいなと思います」と、楢崎らしい言葉で締めくくった。

取材・文/矢部紗耶香

※楢崎誠の「崎」は立つ崎が正式表記