『夏へのトンネル、さよならの出口』制作スタジオCLAPに潜入!プロデューサー&監督が語る、唯一無二な作品への挑戦
「唯一無二はやっぱり目指したいところ」(松尾)
――2020年から1年に1本ペースで劇場アニメを制作してきたCLAP。設立から6年が経ちましたが、CLAPとして目指すものは見えてきましたか?
松尾「よそ(他社)でやらないもの、難しいけれど唯一無二な作品を作りたいという想いは、より強くなりました。どこか一つでも新しい、ほかでは見たことない作品を“作り続けて”いければと思っています。『夏へのトンネル、さよならの出口』では、スタジオや僕からのオーダーではなかったですが、監督がリムライトを入れるという挑戦を積極的にやっていました。示し合わせてはいなくても、よそにはない画作りを目指していたことはすごくうれしく感じました。いかに自分たち“らしさのある”画作りをして目立つか、ということを考えていきたいです。例えば、本作のキービジュアルのラフデザインは監督が考えてくれました。三角でトンネルの入り口を想起させるデザインはすごく目立つし、アイデアを出し合って最終的にこのデザインにたどり着けてよかったと思っています」
田口「原作小説の表紙では丸みのある入り口だったイメージがあったからこそ、このデザインが生まれました」
松尾「ほかではやっていないことをやるのは簡単なことではありません。少し捻くれているのかもしれませんが、唯一無二はやっぱり目指したいところです」
――新しいジャンルにも挑戦したいという想いはありますか?
松尾「大いにあります。今回青春モノを選んだのも、僕が個人的にやったことのないジャンルだからです」
田口「僕もやったことなかったです」
松尾「ラノベもあまり触れたことがありませんでした。若い方が読むものと勝手に思っていたのですが、読んでみたら僕ら世代でも楽しめるし、おもしろいし、読後感がすごくよかったので、ストレートに青春モノとして描ける気がして。田口監督は、『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』でオールドファンを含めて幅広い層を喜ばせることができた監督だと思ったので、すぐに相談しました。きっと小説で感じたい読後感を、映画でも出してくれるはずという期待がありました」
田口「うれしいことばですが、いまのタイミングで聞くとプレッシャーを畳み掛けられています…」
松尾「それもあるかもしれませんね(笑)。あまり読んだことのないラノベを手に取るいい機会になったと思うので、今後もし企画が持ちかけられたら、ちゃんと読んでから判断しようと思っています。新しいジャンルに出会える可能性もあるので」
――最後に、今後挑戦したいと思っているジャンルを教えてください。
松尾「ホラーです!」
田口「いいですね」
松尾「おもしろい原作を見つけたと思っても、すでにアニメ化が決まっていたりするものもあって、なかなか実現には至ってないですが。あまりないタイプで自分たちがおもしろがれるホラー作品を、いつか作ってみたいです」
取材・文/タナカシノブ