あと何度泣かされるのか…“不老不死”の旅路を描くアニメ「不滅のあなたへ」、第1期をおさらい!
果てしない旅の始まりは、少女との出会いから“ニナンナ編”
地上で初めて出会った人間の少年と、彼の死という刺激を受け、少年の姿に変化したフシ(声:川島零士)。幾度もの死と再生を繰り返しながら彼が第2話でたどり着いたのは森の大地、ニナンナ。ニナンナのとある村で暮らす、「大人になってママになること」を夢見る少女マーチ(声:引坂理絵)は、ある日、不幸にも山の神として奉られているオニグマ様への生贄に選ばれてしまう。決死の思いで逃げだした彼女は、その先で(死体となっていた)フシと出会う。
食事も会話も成り立たない、まだ人間の姿をしているだけの彼に「フシ」と名づけたのはマーチだ。母親のように優しく接してくれるマーチによって、フシに個としての意識が芽生え、人間の言葉や感情を汲み取ることができるようになっていく。赤ん坊と母親の関係―人間が成長する仕組みとまったく変わらないものだ。フシの人間性の地盤が築かれていく序盤の重要なエピソードであり、この物語の結末に号泣することは間違いない。
不死身のフシと仮面の少年、兄弟のように成長する2人“タクナハ編”
ニナンナを出たフシは祈祷師の老婆ピオラン(声:愛河里花子)とともに、第7話から新たな地、タクナハへ。そこで彼は仮面を被っている少年グーグー(声:白石涼子/青年期は八代拓)と出会う。彼はリーン(声:石見舞菜香)という少女に恋しており、フシとの日常のほかにグーグーの恋愛も描かれるのが印象的なエピソードだ。
また、フシはタクナハで4年もの間生活をし、グーグーとともに青年へと成長していく。人間の生活を学び、知識を吸収し、最初のころとは比べものにならないほど表情も言語も豊かになり、よりフシの人間的魅力が増す。しかし、ここでもフシは大きな別れを経験することになる。人間性が増したがために描かれる、よりせつなくも残酷な展開。本作の本質を感じ取れるエピソードとなっている。
出会いと別れを繰り返し培われていく心“ジャナンダ島編”
タクナハを発ったフシは道中で出会った少女トナリ(声:稲川英里)に導かれ、第13話からの舞台、ジャナンダ島へ。実はジャナンダ島は、凶悪殺人犯たちが囚人として集められた危険な島だった。そこで旅に同行していたピオランと離ればなれになったフシは、彼女を救うため、囚人たちが望みを叶えるために殺し合う闘技場に参加することになる。
フシを引き入れたトナリの思惑や彼女の仲間たち、かつてニナンナで対峙した仇敵ハヤセ(声:斎賀みつき)、凶悪だが個性も強い囚人たちと、殺伐とした雰囲気と多数の登場人物によるにぎやかさが両立したエピソードだ。そしてフシにとっては、出会いが多ければ別れも多いエピソードでもある。特に、ニナンナから同行していたピオランとの別れが描かれる第1期最終話となる第20話は、これまでに積み重ねられた2人のやりとりの影響もあり、最も感動させられるものとなった。
第2期の舞台は、第1期最終話から数十年後へ!
第1期最終話は非常に続きが気になる終わり方をした。数十年の時が流れ、フシが大きく成長した大人の姿で、笑いながら幕を閉じたのだ。ピオランと別れたあとのフシがどこでどんな生活をしていたのか。次はどんな旅に出て、どんな出会いと別れが待っているのか。
「不滅のあなたへ Season2」で成長したフシと再会できるのが楽しみでしかたがない。彼の長い長い出会いと別れの旅の続きに、我々はあと何度泣かされるのだろうか。
文/リワークス(加藤雄斗)