“韓国トップスター”役のファン・ジョンミン、ニコラス・ケイジのセルフオマージュ…“俳優が本人役”映画のおもしろさ
メタ的な妙味が存分に詰まったホラー映画たち
「死霊のはらわた」シリーズをはじめ、サム・ライミ作品に欠かせないブルース・キャンベルが、主演だけでなく監督と製作も担当し、セルフパロディした1作が『マイ・ネーム・イズ・ブルース』(04)。
本作は、オレゴンの田舎町を舞台に、ひょんなことから封印を解かれた魔物が蛮行を繰り返すなか、ブルース・キャンベルを神と崇める映画オタクの高校生が彼に助けを求めるというホラーコメディ。ブルースは落ち目でアル中の嫌な奴という自虐的な描かれ方をしている。チェーンソーを差し出されれば重いからと持つのを断るなど、過去作にまつわるネタも盛り込まれた彼らしいB級な1作だ。
同じくホラーでは『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』(94)もキャストが本人役を演じており、メタなおもしろさに満ちている。『エルム街の悪夢』(84)のリメイクが決まり、オリジナルのスタッフとキャストが再結集するが、ウェス・クレイヴンが執筆した脚本通りの出来事が起こり始め、主演のヘザー・ランゲンカンプの周りにフレディが姿を現すという内容だ。
ヘザーら多くのキャスト陣が自分自身を演じるほか、ロバート・イングランドは自身に加えてフレディも演じるという1人2役をこなしている本作。リメイクということを生かした続編だからできるユニークな1作になっている。
ハリウッドセレブのパーティってこんな感じ?
本人役として最も多くのキャストが出演しているであろう作品が『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』(13)。セス・ローゲンがエヴァン・ゴールドバーグと共に監督を務めたこのコメディは、ローゲンに加え、彼の親友としておなじみのジェームズ・フランコ、ジェイ・バルチェル、ジョナ・ヒル、マイケル・セラ、ポール・ラッド、ダニー・マクブライド、クレイグ・ロビンソン、ジェイソン・シーゲル、クリストファー・ミンツ=プラッセ…と枚挙に暇がないほどコメディ界隈の人物が集合し、自分自身を演じている。
加えて、エマ・ワトソンやチャニング・テイタム、リアーナといったビッグスターたちも名を連ねており、ジェームズ・フランコの新居でパーティをしていたら前代未聞の大災害が起き、パニックに陥っていくというストーリーが描かれる。
ローゲンとフランコの『スモーキング・ハイ』(08)の続編にまつわる会話といった様々な映画ネタやリアルな関係性などが盛り込まれており、まるでプライベートな一面を覗いているかのよう。そんなセレブたちが天災によって暴走していく、イメージが誇張された姿がとにかく笑える1作だ。
ニコラス・ケイジがセルフオマージュ満載で演じる話題作が気になる!
海外では、ニコラス・ケイジが本人役を演じた『The Unbearable Weight of Massive Talent』が話題を集めている。本作は落ち目のケイジが100万ドルという大金を得るため、彼の大ファンだという億万長者の誕生日会に参加することになる…というアクションコメディ。
ケイジファンの自宅には、これまでにケイジが演じてきた役柄にまつわるアイテムがコレクションされ、過去作の名シーンが忠実に再現されたオマージュも満載。ケイジ自身の不遜なキャラクター像は、若かりし日のインタビューが基になっているのだとか。これまで自分自身を演じる企画を断り続けていたケイジが飛びついたというだけに、どのような1作になっているのか日本公開が待ち遠しい!
俳優のイメージをなぞったり、逆に裏切ったり…と、本人が本人を演じるならではの妙味が満載のこれらの映画たち。ぜひ『人質 韓国トップスター誘拐事件』と共にチェックしてみてほしい。
文/サンクレイオ翼