聴覚障害のプロボクサーの生き様を描く『ケイコ 目を澄ませて』予告編&ポスタービジュアルが到着

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聴覚障害のプロボクサーの生き様を描く『ケイコ 目を澄ませて』予告編&ポスタービジュアルが到着

第72回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門に出品された三宅唱監督の最新作『ケイコ 目を澄ませて』。本作の公開日が12月16日(金)に決定し、あわせて予告編とポスタービジュアルが解禁となった。

本作は、聴覚障害と向きあいながら実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんをモデルに、彼女の生き方に着想を得て、『きみの鳥はうたえる』(18)の三宅唱が新たに生みだした物語。ゴングの音もセコンドの指示もレフリーの声も聞こえないなか、じっと“目を澄ませて”闘うケイコの姿を、秀でた才能を持つ主人公としてではなく、不安や迷い、喜びや情熱など様々な感情の間で揺れ動きながらも一歩ずつ確実に歩みを進める等身大の一人の女性として描き、彼女の心のざわめきを16mmフィルムに焼き付けている。

2月に開催されたベルリン国際映画祭でプレミア上映されると「すべての瞬間が心に響く」、「間違いなく一見の価値あり」と熱い賛辞が次々に贈られ、その後も数多くの国際映画祭での上映が続いている。主人公のケイコを演じた岸井ゆきのは、厳しいトレーニングを重ねて撮影に臨んだという。そして、ケイコの実直さを誰よりも認め見守るジムの会長に三浦友和が扮したほか、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中島ひろ子、仙道敦子など実力派キャストが脇を固める。

予告編では、噓がつけず愛想笑いが苦手なケイコの姿が切り取られている。生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえないケイコ。再開発が進む下町の一角にある小さなボクシングジムを拠り所にする彼女は、トレーナーに「痛いのはきらい」と伝え思わず「正直やな」とツッコまれ、弟から気持ちを聞かれても、「どうせ人はひとりでしょ?」と突っぱねる。「一度お休みしたいです」と、会長へしたためた手紙を渡すことができず、うまく伝えることのできない想いを心の中に溜めたまま、ある日、ジムが閉鎖されることになってしまう。

胸に葛藤を抱えながらも、ひたむきに生きるケイコと、彼女を案じて寄り添うまわりの人々を、三宅が16mmフィルムのあたたかな質感でやさしく映しだす。誰よりもケイコの実直さを認めている会長とシャドーボクシングをするラストカットで、いまにもあふれだしそうな涙をこらえながら拳を突き出す彼女の瞳は胸に迫る。

あわせて解禁されたポスターは、リングのふちに座りこちらに視線を送るケイコの“目”が印象的な1枚。そのまなざしや佇まいから、彼女が置かれている環境や心の声が浮かび上がる、エモーショナルなビジュアルに仕上がっている。

不安や迷い、喜びや情熱など、様々な感情の間で揺れ動きながら一歩ずつ、でも確実に歩みを進めるケイコの姿。そんな不器用で真っ直ぐな彼女を映しだした本作を、“目を澄ませて”観て欲しい。

文/サンクレイオ翼

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