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山崎貴監督、“惑星観光映画”と『アバター』を称賛「映画のチケット代で宇宙の果てまで連れて行ってくれた」

インタビュー

山崎貴監督、“惑星観光映画”と『アバター』を称賛「映画のチケット代で宇宙の果てまで連れて行ってくれた」

「映画のチケット代で僕らをはるか宇宙の果てまで連れて行ってくれました」

1930年代から長編映画に採用され、改良が加えられてきた3D映画。山崎監督は長年にわたって見せ物の域を出なかった“飛び出す映画”を、『アバター』は映像世界を体験できる段階に引き上げたという。「(『アバター』以前の)3D映画はなにかがスクリーンから飛んでくるイメージでしたが、『アバター』は画面の奥まで見渡せる映像で、観客を映画のなかに没入させた。撮影でヘリに乗ることがありますが、パンドラの空撮シーンはその時の感覚そのままでしたから」。つまり、リアルな惑星観光の気分が味わえるということ。「本物を見ている感覚にさせないと、“観光映画”は成立しません。それを可能にした『アバター』は、映画のチケット代で僕らをはるか宇宙の果てまで連れて行ってくれました。“驚き”から“体験”へとフェーズを進めたことで、3Dは映画を本質的に味わうためのツールになったんです」。

“トゥルーク・マクト”になったジェイクは、バラバラだったナヴィの各部族をまとめ上げる(『アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター』)
“トゥルーク・マクト”になったジェイクは、バラバラだったナヴィの各部族をまとめ上げる(『アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター』)[c]2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

「不敗神話をずっと続けているのが、ジェームズ・キャメロンですからね!」

3Dリマスター版で限定公開される『アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター』。楽しみにしているシーンを尋ねると、「ジェイクがバンシーに乗って崖から飛び降りるシーン」という回答が。「こちらも心の準備ができていないまま崖から落ちるじゃないですか。あのシーンは完全にキャラクターと同化しました。すぐにネイティリが飛んできて、見せる笑顔も大好きです」とのこと。もう一つピックアップしてくれたのが、クライマックスの最終決戦。「この映画には高速の兵器が出てきません。だから三次元空間を自由自在に使いながらも、すべての動きがちゃんと知覚できるんです。しかも、CGが勝手に作ったような味気なさもない。絶妙なサジ加減のスペクタクルを、また大画面で味わいたいですね!」。


第1作から約10年後の惑星パンドラを舞台に、ジェイクとネイティリの子ども世代の物語が描かれる『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
第1作から約10年後の惑星パンドラを舞台に、ジェイクとネイティリの子ども世代の物語が描かれる『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』[c]2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

3Dリマスター版のあとには、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の公開が控えている。本作がどんな映画になるのか予想を聞いてみると、「あんなに綺麗にまとまった映画の続きって、どうするんでしょう?」とまったく想像ができないと話す山崎監督。

ただし、キャメロン監督作だけに思いもよらない展開を期待したいと語る。「キャメロンは『2』の名手ですからね。『ターミネーター2』 も『エイリアン2』も『ランボー 怒りの脱出』もみんなすごかった(笑)。

【写真を見る】「キャメロンは『2』の名手」と持論を展開!『ターミネーター2』より、アーノルド・シュワルツェネッガー、エドワード・ファーロングと話し合うジェームズ・キャメロン
【写真を見る】「キャメロンは『2』の名手」と持論を展開!『ターミネーター2』より、アーノルド・シュワルツェネッガー、エドワード・ファーロングと話し合うジェームズ・キャメロン[c]Everett Collection/AFLO

(当時ほどの盛り上がりがないなど)3D映画を取り巻く状況はよくないし、VFXも高止まりで単に“すごい映像”だけではお客さんも驚かない時代です。そんななかで、いったいどうするの?と思っていても、映画を観た瞬間に『疑ってすいませんでした!』となるんじゃないでしょうか(笑)。そんな不敗神話をずっと続けているのが、ジェームズ・キャメロンですからね!」。

取材・文/神武団四郎

山崎貴
1964年生まれ、長野県出身。CGによる高度なビジュアルを駆使した映像表現・VFXの第一人者。『ジュブナイル』(00)で長編監督デビュー、『ALWAYS 三丁目の夕日』(05)で日本アカデミー賞ほか各映画賞を受賞。代表作に『永遠の0』(13)、『STAND BY ME ドラえもん』(14)、『海賊とよばれた男』(16)、『アルキメデスの大戦』(19)などがある。最新監督作は『ゴーストブック おばけずかん』(22)。

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