何度も驚嘆し、鳥肌が立つ『線は、僕を描く』、観るというより“浴びる”『RRR』など週末観るならこの3本!

コラム

何度も驚嘆し、鳥肌が立つ『線は、僕を描く』、観るというより“浴びる”『RRR』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、「ちはやふる」シリーズのスタッフ陣が再集結し“水墨画”に魅せられた青年の変化を描くドラマ、「バーフバリ」のS・S・ラージャマウリがインド映画史上最高の製作費を投じて描いた2人の男の友情と戦いの物語、A24が製作を担当し、コリン・ファレル、ジョディ・ターナー=スミスらの共演で描くドラマの、心を掴まれる3本。

水墨画を描く過程がこんなにも躍動的だとは…『線は、僕を描く』(公開中)

【写真を見る】横浜流星と清原果耶は、撮影のため長期間水墨画を練習したという(『線は、僕を描く』)
【写真を見る】横浜流星と清原果耶は、撮影のため長期間水墨画を練習したという(『線は、僕を描く』)[c]砥上裕將/講談社 [c]2022 映画「線は、僕を描く」製作委員会

砥上裕將による同名小説を、「ちはやふる」シリーズの小泉徳宏が映画化。百人一首から、モチーフを持ち替えた小泉監督が、今回もまた万人には馴染みが薄いかもしれない“水墨画”の世界に魅了させ、どっぷり引き込んでくれる。

バイトの絵画展設営現場で、ある水墨画に目を奪われた大学生の霜介(横浜流星)は、水墨画の大家、篠田湖山(三浦友和)に声を掛けられ、水墨画を習うことになる。尻込みしつつ、湖山の家で習い始めた霜介は、その面白さにのめり込んでいく。そして、ある事故で家族を喪って以来、深い悲しみから殻に閉じこもりがちだった霜介は、再び周りの世界へと目を開くようになっていく――。

水墨画が完成するまでの過程が、こんなにも躍動的だとは!真っ白い紙の上に筆が置かれた瞬間から、まさに手品を見ているように何度も驚嘆し、鳥肌を立てずにいられない。湖山と孫娘、千瑛(清原果耶)、湖山の一番弟子(江口洋介)らと霜介が繰り広げる人間ドラマは心に染み、大学まわりの青春ドラマは笑いと輝きと「あるある」に満ち、霜介の過去が浮かび上がる過程はサスペンスフルに。繊細かつダイナミック。横浜流星はじめ役者陣の味わい深い演技が、本作の世界観と余韻を深めている。(映画ライター・折田千鶴子)

おそらく誰もがひれ伏しながら爆笑するに違いない…『RRR』(公開中)

1920年代の英国植民地時代のインドを舞台に、2人の男の熱い友情と激しい戦いを描く『RRR』
1920年代の英国植民地時代のインドを舞台に、2人の男の熱い友情と激しい戦いを描く『RRR』[c]2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

あの「バーフバリ」のS・S・ラージャマウリ監督の最新作がついにやってきた。「バーフバリ」の大成功を追い風に、インド映画史上最高額の製作費が投じられたというから、過剰なパワーで観客を圧倒した「バーフバリ」を越えてやる!という強固な意思を感じずにはいられない。我々に与えられた選択肢は、怒涛の勢いと物量を前にして、ひれ伏すか笑うしかない。いや、おそらく誰もがひれ伏しながら爆笑するに違いない。

物語の背景には植民地時代のインドの独立運動があるのだが、歴史ものと呼ぶにはあまりにもタガが外れている。超人レベルで強くてカッコいい男が2人いて、運命的にアツい友情で結ばれ、全力でハシャぎ、全力で踊り、全力で困った人を救い、全力で大ゲンカもする。そしてビジュアルからして濃厚な男2人のわちゃわちゃが、いつのまにか国を揺るがせる未曾有の事態へとなだれ込むのだ。待ったなし、問答無用の3時間。観る、というより、浴びる、という言葉が似合う、インド映画ならではのメガ盛りフルコースを堪能してほしい。(映画ライター・村山章)


日本の我々の琴線に触れる部分も多い…『アフターヤン』(公開中)

人間とAIが共生する世界での家族の絆を映しだす『アフター・ヤン』
人間とAIが共生する世界での家族の絆を映しだす『アフター・ヤン』[c]2021 Future Autumn LLC. All rights reserved.

ロボットも家族の一員となった近未来。そのロボットが故障し、修理もうまくいかなくなったら、それは家族との永遠の別れにもなる…。設定は明らかにSF的世界。いきなり家族のダンスバトルで始まるので、どんなムードが待っているかと思いきや、作品自体は静かに感動がしみわたるテイスト。主人公一家の長男にあたる存在がヤン(ジャスティン・H・ミン)という名のロボットなのだが、人間の姿そのものなので、ある意味、シンプルな家族ドラマとして進んでいく。

監督は韓国系アメリカ人のコゴナダで、前作『コロンバス』(17)でも建築を巡るドラマを静謐に届けた。本作でもそのタッチをキープ。一家の父親が茶葉を売る店を営んでおり、お茶の淹れ方や飲み方も語られ、多様な人種の家族はファッションがアジア風。音楽には坂本龍一が参加しており、日本の我々の琴線に触れる部分も多い。ヤンのメモリに保存されていた家族の動画がキーポイントになって、観終わった後、家族の日常、その大切さ、愛おしさで深い余韻に包まれる。(映画ライター・斉藤博昭)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

関連作品

  • アフター・ヤン

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    445
    ベビーシッターロボットとある家族の危機と“秘密”を描いたA24のSFヒューマンドラマ
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  • 線は、僕を描く

    4.2
    1705
    水墨画に出会い魅了される大学生を描いた同名タイトルの青春小説を横浜流星主演で映画化
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  • RRR

    4.7
    1543
    『バーフバリ』監督による、英国植民地時代のインドを舞台に革命家2人を描いたアクション
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