森崎ウィンが明かす、スピルバーグ作品の“魔法”が生まれる現場。40周年『E.T.』に感じた「普遍的な友情の喜び」
スティーヴン・スピルバーグ監督が生みだした、SFアドベンチャー映画の金字塔『E.T.』(82)。世代を超えて愛され続けている本作が今年2022年に公開40周年を迎えたことに合わせ、MOVIE WALKER PRESSでは、40周年を記念して発売される公式グッズやポップアップショップなどの最新情報を紹介しながら、本作の魅力を改めて検証する連載企画を実施中だ。
第3回となる今回は、スピルバーグ監督作品『レディ・プレイヤー1』(18)のメインキャストに選ばれ、その後もアーティスト、俳優として活躍中の森崎ウィンが登場。ミャンマーで生まれ育ち、小学校4年生の時に来日した森崎にとって、育った環境や言葉が違いながらも友情を育んでいくE.T.とエリオット少年の関係性には「憧れもあった」という。森崎が思う、『E.T.』が不朽の名作たる所以。そして目撃したスピルバーグ監督の素顔や、彼との出会いがもたらした俳優としての変化について語った。
「初めて『E.T.』を観たのは、10歳くらいのこと。ミャンマーでおばあちゃんと観ました」
10歳の少年エリオット(ヘンリー・卜ーマス)と、地球にたった一人置き去りにされた宇宙人“E.T.”の交流を描く本作。森崎が生まれたのは、その公開から8年後となる1990年。初めて本作を鑑賞したのは、「ミャンマーに住んでいるころに、おばあちゃんと観たことを覚えています」と振り返る。
「10歳くらいのことだったと思います。ちょうど劇中のエリオットと同じくらいの年齢ですね。ミャンマーにいるころは、休みの前日になると、夜にはおばあちゃんたちと映画鑑賞会をして、洋画やミャンマーの映画などをみんなでよく観ていました。そのなかの一つとして『E.T.』を観たんですが、同じ年くらいの子どもたちが出てくるということで、親近感もあって。自転車が空に浮きあがるシーンや、未知なるものとの遭遇など、子ども心にワクワクしました」と目を輝かせて観たという。
大人になって観返してみると、共感できる点や、新たに気づく魅力もたくさんあったという森崎。異星人である“E.T.”と地球の少年、エリオットとの友情には「憧れもある」と打ち明ける。
「僕は、小学校4年生の時にミャンマーから日本にやって来て。最初は言葉もわからないですし、僕の入学した小学校はあまり外国人のいる学校ではなかったので、みんなからすると、急にやって来た僕を見て『なんだこの人は』という驚きもあったと思います。きっと、興味も拒絶反応もあったはず。ある意味、僕が“E.T.”のような状態ですよね」とにっこり。「一人で過ごすことも多かったので、空想の世界に浸ることもあって。聞いた話によると、スピルバーグ監督は両親が離婚されたあとに空想上の友人を作ることもあって、それが本作のコンセプトになっているそうなんです。そういった子どものころに抱えていた孤独は、僕もとても共感ができます」と語り、さらに「僕もそういった孤独を味わったからこそ、誰かと通じ合えた時はとてもうれしかったですね。近づいてきてくれて、仲間になってくれた人がいるから、僕はこの場所を好きになれた。友だちの存在は、やっぱり僕にとっても大きなものです」と友情を感じながら一歩踏みだしていった過程は、まさに“E.T.”&エリオットの姿にも通じるものだ。