【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第9回 女に生まれて

コラム

【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第9回 女に生まれて

強くならざるを得ない女という生き物に、私は生まれてきたのだ

「女としての強みを最大限に活かして人生をやりくりしてきた」と語るMINAMO
「女としての強みを最大限に活かして人生をやりくりしてきた」と語るMINAMO撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香

私はずっと、女としての強みを最大限に活かして人生をやりくりしてきた。そんな自分に返ってくる一瞬の得に安堵し、同時に反吐が出るほど自分が気持ち悪いとも思った。そんな矛盾に苦しんできた。そんななか、伊藤比呂美さんの「女の一生」に出会った私は「女の利用法」というページに釘付けとなった。

「女に対する男たちのすけべ心をくすぐりながら世渡りしていたんだなあとしばしば思います。でも、後悔も反省もしてません。あの頃の自分の持ってた武器を最大限に使って戦ってたわけですから、潔いことであったと思っています。」と、彼女はそうあっけらかんと言う。なるほど。"女である私を使っていた"のではない。"女である私を使い戦っていた"のだ。私はその清々しさにバチンと背中をたたかれた。そして、救われた。彼女の言葉はキョーレツだ。

詩人の伊藤比呂美が各世代の女性のさまざまな悩みに対し、軽妙なタッチで答えていく「女の一生」
詩人の伊藤比呂美が各世代の女性のさまざまな悩みに対し、軽妙なタッチで答えていく「女の一生」「女の一生」著/伊藤比呂美 岩波新書刊

「女」には「女」の求められるスキル的なものが生きている限りずっとあるように思う。それは、人と人とのコミュニケーション能力とも違う。今は、空気を読む、ここは黙っておく、ニコッと笑っておくなど、誰にも教わっていないのに培わざるを得ないスキル。女として生きていく術、という言葉が一番しっくりくるのだろうか。誰が求めていたスキルなのかわからない。そんなのいーらね、ぽいっと、そう簡単に手放せたならどんなに楽だったろう。

今や私は、昔のように「女」にからめて私を痛めつける奴がいるのなら、地の果てまで追いかけてやるし、ねちっこい嫌味を言われようものならその1000倍のねちっこい嫌味を返してやる、と鼻息荒く構えている。後悔や反省の皮の下から出てきた自分の中のなかやまきんに君が「パワー!」と叫びながら私を守ってくれているのだ。人間誰もが自分で自分を守らなきゃいけない。

 MINAMOを勇気づけた母親の言葉とは
MINAMOを勇気づけた母親の言葉とは撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香

これから先、まだまだ人生を生きねばならない私は、女であるがゆえの理不尽なことにさらされ続けるだろう。けれども、私がこの世に存在して、自身を愛する限り、(そしてなかやまきんに君が私の中に居続ける限り)誰も私を傷つけられないし、利用もさせない。女として生まれたことで「見なくても良かった世界」を見てしまっても、「知らなくて良かったこと」を知ってしまっても、「経験しなくてよかった痛み」を経験しても、私はもう大丈夫なのだ。悲しいかな、強くならざるを得ない女という生き物に、私は生まれてきたのだ。少しずつそれを受け止めている。


■MINAMO プロフィール
京都府出身。2021年6月にSOFT ON DEMANDよりAV女優としてデビュー。趣味は映画&レコード鑑賞、読書。
YouTubeにて「MINAMOジャンクション」を配信中。
Twitter:@M_I_N_A_M_O_
Instaglam:minamo_j


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