【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第9回 女に生まれて
母の言葉で女としてだけではなく、私の人生を生きたいと改めて思えた
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19)は私が小さい頃表紙がボロボロになるまで読んだ小説「若草物語」を映画化したものである。この作品の時代背景は、女性はお金持ちと結婚してナンボ。自立することも、表現者として認められることも不可能であった。しかし、主人公ジョーは小説家になる夢を叶えるために犠牲と努力を重ね、強くなっていく。ジョーだけではない。ジョーを含む四姉妹も、悩みながらそれぞれの道を選択していく。その姿に感情を刺激され、涙した。時代は違えど、常に戦っていくことは同じ。社会の偏見や圧力に抗い、女たちは成長し続けている。
男として生まれてきたとて私は盛大に自分の人生を楽しんだであろう。女で良かったことなど、私のような小娘にはまだ分かるはずもない。この先どのくらいで知ることができるのかも分からない。分からないままに生きている。だけど私は、「わたし」に生まれて「わたし」を生きることができて幸せだと思う。ただ思う。私がAVデビューした後に、母が言った。「デビューすると言われた時、真っ向から否定なんてできなかった。みんなそういうことをして生まれてきているのに、性を否定してそれをオカシイだとか汚いだとか言うのは違う。あんたが幸せなら私も幸せ」と。同じ女として大先輩の母には頭が上がらない。感謝し、女としてだけではなく、私の人生を生きたいと改めて思えたのだ。
なぜこうも覚えていなくていいことは身体の細胞という細胞が覚えているのに、覚えておきたいことは覚えられないのか。「好きな女の子がごはんを残してるのを見るのが嫌だから食べるんだよ」と言って、自分もお腹いっぱいなのに私の残したご飯を食べてくれた男の人って誰だったっけな、好きだったけどなんでか忘れてしまった。なんて考えながら私は今日もお腹いっぱい美味しいご飯を平らげる。腹が空いてるからアレコレ考えるのだ。腹を満たして「女として生きていく術」なんてぽいっと全部忘れてやる。笑いたくない時は笑わないで、腹が立つなら机の下で中指でも立てましょう。
京都府出身。2021年6月にSOFT ON DEMANDよりAV女優としてデビュー。趣味は映画&レコード鑑賞、読書。
YouTubeにて「MINAMOジャンクション」を配信中。
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