IUにイ・ビョンホンら韓国スターがドレスアップ!“韓国のアカデミー賞”受賞結果は『別れる決心』が主要部門制覇
華やかさだけではない青龍映画賞。キム・ヘス「意義を分かち合う場でもある」
青龍映画賞に恒例の祝賀公演も、今年は特に印象深いものとなった。「MMA 2022 Presented by Kakao Bank(MelOn MUSIC AWARDS)」で新人賞と大賞を同時に受賞したIVE、今年8月にBTSが所属するHYBEの新レーベルから電撃デビューしたガールズグループNewJeansが、それぞれスペシャルステージを披露。ラッパーのZICOもダンスチャレンジブームを起こした「Any Song」で会場を沸かせ、人気スター賞の一人に選ばれたコ・ギョンピョははしゃいでダンス。大盛り上がりとなった。一方、歌手チョン・フニは、声楽家4人で構成された男性ボーカルグループ、ラ・ポエムと共に『別れる決心』の挿入曲「霧」を情感豊かに歌い上げた。感極まった主演女優のタン・ウェイが大粒の涙を流し、主演男優のパク・ヘイルが優しく慰める姿も印象的だった。
『別れる決心』で監督賞を受賞したパク・チャヌク監督「本当に良い俳優とスタッフに出会った」
傑作揃いの今年の韓国映画界だったが、主要部門を制覇したのは『別れる決心』。最優秀作品賞を初め、監督賞、主演女優賞(タン・ウェイ)、主演男優賞(パク・ヘイル)、音楽賞(チョ・ヨンウク)、脚本賞(パク・チャヌク、チョン・ソギョン)と6部門を獲得した。現在ロサンゼルスで撮影中のため欠席となったパク・チャヌク監督の代理で監督賞を受賞したのは、コメディアンのキム・シニョン。本作でパク・ヘイル扮するヘジュンと共に事件の捜査に当たる刑事を演じ、絶妙な存在感を見せている。ステージに立ったキム・シニョンは、「生きていて一番難しく怖いのは、偏見と先入観と戦うことだと思います。 私も“コメディアンが映画? みんなに見くびられるでしょう?”と思ったのですが、私自身よりも偏見を先に打ち破り、人々の先入観の前に盾のようにして立ってくださったパク・チャヌク監督に感謝します」と述べた。
キム・シニョンが代読したパク・チャヌク監督のコメントには、「映画監督になって良い点が一つあれば、 才能ある人たちに会う機会が多いことだと思います。『別れる決心』でも本当に良い俳優とスタッフに出会いました。皆とこの栄光を一緒に共有したいです」とあった。作品賞の授与で壇上に上がった際、『別れる決心』の出演陣が手をつないでいるのを目にし心が温かくなったが、恐らく撮影現場からこうした良い雰囲気なのだろう。
そして今年最も記憶しなければならない瞬間は、主演女優賞のプレゼンターとして登壇したムン・ソリによる梨泰院惨事への追悼の一幕だった。彼女は共に仕事をしてくれていたという知人の名前を挙げ、「君が10月29日、息も出来ず天国に行ったのがまだ信じられない。この場で君の名前を呼んであげられず心が痛い」と涙ながらに伝え、故人への哀悼と早急の事故の真相究明を求めた。喜ばしい日に重い話題することを詫びるムン・ソリに対し、キム・ヘスは「意味のあることを分かち合う場だから、大丈夫です」と即座に応えた。彼女はもちろん華やかなオーラを持つ大女優であるが、同時に映画という芸術を通して社会と向き合うシネアストであることに深い感動をおぼえた。
第43回青龍映画賞 受賞結果
<映画部門>
最優秀作品:『別れる決心』
主演男優賞:パク・ヘイル『別れる決心』
主演女優賞:タン・ウェイ『別れる決心』
監督賞:パク・チャヌク『別れる決心』
助演男優賞:ピョン・ヨハン『閑山:龍の出現(原題)』
助演女優賞:オ・ナラ『ジャンルだけロマンス(原題)』
人気スター賞:コ・ギョンピョ、イ・ジウン(IU)、ダニエル・ヘニー、イム・ユナ
音楽賞:チョ・ヨンウク『別れる決心』
技術賞:ホ・ミョンヘン『犯罪都市 THE ROUNDUP』(22)
撮影照明賞:イ・モゲ、チョン・ソンファン『ハント(原題)』
編集賞:キム・サンボム『ハント(原題)』
美術賞:ハン・アルム『キングメーカー 大統領を作った男』(21)
脚本賞:パク・チャヌク、チョン・ソギョン『別れる決心』
最大観客賞:『犯罪都市 THE ROUNDUP』(22)
新人監督賞:イ・ジョンジェ『ハント(原題)』
新人男優賞:キム・ドンフィ『不思議な国の数学者(原題)』
新人女優賞:キム・ヘユン『ブルドーザーに乗った少女(原題)』
文/荒井 南