映画パーソナリティ・伊藤さとりが語る”天職”に巡り合うまで

インタビュー

映画パーソナリティ・伊藤さとりが語る”天職”に巡り合うまで

自身3冊目となる著書「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」を12月に上梓した、映画パーソナリティの伊藤さとり。「映画パーソナリティ」と名乗り始めて今年で28年、映画の舞台挨拶や記者会見の場で、俳優や映画監督たちとアイコンタクトをとり、オリジナリティある会話を繰り広げる。会場を一体感で包むのがさとり流だ。各所から信頼の厚い彼女だが、この仕事に就くまでにはいくつもの壁があったという。そんな彼女に、映画パーソナリティと名乗るようになるまでの道のりと、「映画紹介」にこだわり続けたこれまでの歩みについて語ってもらった。

 12月に自身の著書「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」を出した、映画パーソナリティの伊藤さとり氏
12月に自身の著書「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」を出した、映画パーソナリティの伊藤さとり氏[c]2022 Movie Walker

「『日曜洋画劇場』の淀川長治さんに憧れていました」

――映画パーソナリティとして長年ご活躍されていることもあり、映画の舞台挨拶といえば伊藤さとりさんというイメージがあります。いつごろから映画に興味を持ち始めたのですか?

「幼稚園のころから『日曜洋画劇場』で映画の解説をされていた淀川長治さんに憧れていて。淀川さんが番組で言う、『サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ…』という言葉を子どもながらにいつも真似していました」

――幼稚園の時から映画が好きだったんですね。淀川さんのセリフは幼稚園で流行っていたんですか?

「全然!親が厳しくて、TVの決定権はいつも親が持っていたんです。野球かニュース、相撲、政治、映画しか見せてもらえなくて。なので、私の唯一のエンタテインメントが映画でした。私の家は小さかったので、TVのある部屋で家族全員が寝ていて。父親が夜に映画を観るので横で一緒に観ていました。いま思えばすごいのですが、小学一年生で『エマニエル夫人』も観ていましたね。母親は怒っていましたが、父親が『これは芸術なんだ!』って自分が観たいがための言い訳をしていました(笑)。そんな環境だったので、自然と映画が趣味になっていきました」

【写真を見る】来日したジョニー・デップと伊藤さとり氏
【写真を見る】来日したジョニー・デップと伊藤さとり氏[c]2018 ITO SATORI

――環境の影響も大きかったんですね。

「映画評論を書きたいという想いがあったんです。小学校の時に唯一褒められたのが、美術と作文。なけなしのお小遣いで、ありとあらゆる映画雑誌を買い集めて映画評をずっと読んでいたのが活きたんだと思います。中学生になると、洋楽雑誌も買うようになりました。映画『フラッシュダンス』(83)や『フットルース』(84)の80年代のサウンドトラックがものすごくよくて、そこから洋楽にも興味を持ち始めました」

ケヴィン・ベーコンの出世作。ダンスもロックも禁じられた街に1人の青年がやって来る (『フットルース』)
ケヴィン・ベーコンの出世作。ダンスもロックも禁じられた街に1人の青年がやって来る (『フットルース』)[c]EVERETT/AFLO

――映画からたくさんの“好き”が生まれていったんですね。仕事に就く時は映画の道1本に絞っていたのですか?

「最初は映画ライターになろうと思っていたのですが、『大学に行かず家のために働いてくれ』と言われて…仕方なく就職することにしました。どうせ就職するなら映画雑誌!と思って何社か出版社に電話もしてみたのですが、帰ってくる返答は同じ。『大学に入ってもらって、大学生でインターンとしてアルバイトをしてもらって、それで出版社に入れるんですよ』って説明されるんです。ショックでしたね。なので、『007』の影響で好きだった車関連の会社を探し、タイヤメーカーに就職することになりました」

「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」
全国の書店で発売中
著:伊藤さとり イラスト:朝野ペコ
価格:1,540円(税込)
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