柳楽優弥主演「ガンニバル」がすごいらしい。ディズニープラス「スター」野心作に期待が膨らむ理由とは
柳楽優弥や笠松将、実力派の豪華俳優陣が集結
『誰も知らない』(04)にて、当時14歳というカンヌ映画祭史上最年少で男優賞を受賞し、いまや誰もが認める実力派俳優に成長した柳楽が主演を務めることも大きなトピックだ。彼が演じる大悟は曲がったことが許せない直情的な性格ゆえに、自分と家族をも危険にさらしてしまう。本作について柳楽は「今年一番、集中してやりきった作品」と語っており、そのただならぬ気迫に満ちた演技が、不穏なテンションに貫かれたドラマに予測不能なうねりを引き起こしていく。大悟を心から愛しながらも不安に揺れる妻、有希役の吉岡、後藤家の新たな当主である恵介役の笠松将、何者かに顔の一部を喰われたミステリアスな青年、寺山京介役の高杉真宙ら共演者たちとの濃密なアンサンブルからも目が離せない。
“ヴィレッジ・サイコスリラー”を追求したこだわりのロケーション
本稿の冒頭で「特筆すべき“本格派”スリラー」と評した本作のレベルの高さは、ビジュアルを目の当たりにすれば一目瞭然。日本各地で長期撮影を敢行したロケーション選びのこだわり、美しさと不気味さがせめぎ合う風景や登場人物が繰り広げるアクションを捉えたダイナミックなカメラワークなど、あらゆるショットからプロダクションの充実ぶりがうかがえる。製作陣と現場のクリエイターがまさに一丸となって、スリラージャンルの“世界水準”を志した意欲が全編にみなぎっているのだ。
そして、本稿ではいわゆるネタバレを一切していないが、劇中ではいくつもの“驚愕の真実”が明かされ、観る者の現実認識や倫理観をかき乱すような展開が待っている。一般社会のルールや常識が通用しないこの村では、いったいなにが正しく、誰を信じればいいのか。はたして“人喰い”の噂は本当なのか…。視聴者は余計な先入観を捨て、まっさらな気持ちでこのヴィレッジ・サイコスリラーの非日常世界に飛び込むべきだ。そうすれば絶え間なくあふれ出すスリルと謎にたちまち魅了され、ひょっとするとあなた自身の感性が“村に喰われる”ことになるかもしれない。
文/高橋諭治