ジョージ・ルーカスの真髄が詰まった『ウィロー』!34年の時を結ぶ、冒険ファンタジーの“原点”に迫る

コラム

ジョージ・ルーカスの真髄が詰まった『ウィロー』!34年の時を結ぶ、冒険ファンタジーの“原点”に迫る

のちの巨匠ロン・ハワードの才能、ILMによる最新鋭のSFXも光る!

ルーカスフィルムが手掛けた大迫力のSFXはパワーアップして今回も存在感を発揮
ルーカスフィルムが手掛けた大迫力のSFXはパワーアップして今回も存在感を発揮[c] 2022 & TM Lucasfilm Ltd.

監督は『アポロ13』(95)や『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(18)の巨匠ロン・ハワード。当時のハワードはコメディ映画を主に手掛けていたが、気弱な青年が娼婦を助けるために奔走する『ラブ IN ニューヨーク』(82)、泳げない青年が人魚に恋をする『スプラッシュ』(84)、老人たちが異星人に遭遇する『コクーン』(85)など、普段あまりスポットライトが当たらない者たちが奮闘する、ハートフルな作品で評価を高めつつあった。ルーカスがハワードに求めたのも、そんな持ち味だったのだろう。しかしハワードはその期待に応えただけでなくスペクタクル描写にも冴えを見せ、本作の好評を追い風に大作映画にも活躍の場を拡大。名実共にハリウッドを代表する監督の一人に成長していった。


邪悪な力で世界の大半を支配していた魔女バブモルダ(映画『ウィロー』)
邪悪な力で世界の大半を支配していた魔女バブモルダ(映画『ウィロー』)[c] 2022 Lucasfilm Ltd. All rights reserved.

そんな本作のスペクタクルを支える特撮やクリーチャーたちを手掛けたのが、8度のアカデミー賞に輝くデニス・ミューレンを中心にしたILMのメンバーだ。魔法バトルや妖精たちの光り輝くアニメーション、トロールやデス・ドッグなどのメイクアップ・エフェクト、2つの首を持つ巨竜エボシスクなどのストップモーション・アニメーション、巨大な城塞などのミニチュア、そして生き物の姿が別の生き物に次々と変化していくCGモーフィングなど、シーンに合わせたSFXをふんだんに使用して映画を盛り上げた。なお、ILM出身でのちに映画監督として『ジュマンジ』(95)や『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(11)などを手掛けるジョー・ジョンストンは、本作ではSFX担当の共同プロデューサーを務めており、最新鋭のSFXを多用した本作の経験でその腕を磨いたのだ。

ウィローの旅の仲間で、のちにソーシャと結ばれる荒くれ者のマッドマーディガン(映画『ウィロー』)
ウィローの旅の仲間で、のちにソーシャと結ばれる荒くれ者のマッドマーディガン(映画『ウィロー』)[c] 2022 Lucasfilm Ltd. All rights reserved.

リアルで重厚なロケーション撮影も、本作ならではの見どころだ。不気味な湖や荒れ地、そしてバブモルダの拠点ノックマール城の決戦は、厚い雲に覆われたウェールズ北部で撮影。さらに、雪に閉ざされた集落ほか山岳地帯を求めて、クルーはニュージーランドに飛び、1か月かけてトンガリロ国立公園などで撮影を行った。ニュージーランドと言えば、のちにピーター・ジャクソン監督の「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」シリーズ、C・S・ルイスの名作を映画化した「ナルニア国物語」シリーズのロケ地として、いまやファンタジーの“聖地”となっている。この国の雄大な光景を、ファンタジー大作の舞台として最初にフィーチャーした、エポックメイキングな作品こそが映画『ウィロー』だったのだ。


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