有終の美?打ち切り?「ベター・コール・ソウル」「THIS IS US」「ウエストワールド」…明暗を分けた“2022年終了海外ドラマ”まとめ
最終回は4年前に撮られていた!「THIS IS US/ディス・イズ・アス」
米NBC製作によるヒューマンドラマ「THIS IS US/ディス・イズ・アス」も、2022年5月に6シーズン、6年の歴史に終止符を打った。ある三つ子の人生や悲喜交々の家族模様を、過去、現在、未来と複数の時間軸を混ぜた構成で描いていた本作。
多くのフラッシュバック映像で構成されている最終回には、主人公たち三つ子の子ども時代も含まれているが、実はこれらの映像は子どもが成長するのを見越して4年前に撮影されていたそう。クリエイターを務めるダン・フォーゲルマンも「エンディングについてのプランが明確にあった」とインタビューで語っており、このシーズンでの終了も予定通りだったようだ。
4年ぶりの復活から一気にシリーズ終了へ「アトランタ」
主演に加え企画、製作総指揮、脚本、監督などを務めるドナルド・グローヴァーほか、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ラキース・スタンフィールド、ザジー・ビーツといったいまや様々な作品に引っ張りだこの黒人俳優たちのブレイクのきっかけとなった「アトランタ」。
アトランタを舞台に従兄弟のラッパーのマネージャーとして働く主人公の生活を描くこのブラックコメディは、米FXで2016年に放送が開始されると2018年のシーズン2を最後に長らく凍結状態にあったが、4年ぶりとなるシーズン3が2022年3月に、シーズン4が9月に放送される超ハイペースな復活を遂げたかと思いきやそのまま終了した。
もともとはシーズン2の時点で終わらせたかったというグローヴァーは、作品の終了を「死は自然なもの」と捉えており、ドラマの終了も自らの意思によるものだという。なおシーズン3は2019年の時点で脚本ができていたが、いざ撮影というタイミングで新型コロナが流行したため、時間が開いてしまったようだ。
トップ交代によるコストカットの餌食となった「ウエストワールド」
人気SF映画を米HBOがドラマとしてリメイクした「ウエストワールド」は、シーズン4が2022年8月に放送されると、シーズン5へ更新するという話が出ていたが、そのままシーズン4で打ち切りとなる衝撃的な最後に…。
その背景として、HBOの親会社ワーナーの新たなトップとして就任したデヴィッド・ザスラフによるコストカット戦略も大きいのではと言われており、実際「ウエストワールド」シーズン3には1億ドルもの製作費がかかったが、視聴率は低下していた。なお契約の形態により、メインキャストにはシーズン5があろうがなかろうが、1話2500万ドルほどと言われる莫大なギャラが支払われるそうだ。
ショーランナーの交代が仇となった?「キリング・イヴ/Killing Eve」
ヨーロッパ各地で暗躍するサイコパスな女性殺人鬼と彼女を追い続けるイギリス情報機関MI6の女性捜査官のイタチごっこをスタイリッシュに描いた、BBCアメリカ製作の人気作サスペンスドラマ「キリング・イヴ/Killing Eve」もシーズン4で終幕となった。
ラストシーズン放送前から終了が決定していたため、作品のクオリティや人気は関係ないそうだが、シーズン3から人気に少しずつ陰りが見えていたのも事実で、シーズン4もなかなか厳しい評価に。企画者のフィービー・ウォーラー=ブリッジがシーズン1でドラマを降りて以降、シーズン2はエメラルド・フェネル、シーズン3はスザンヌ・ヒースコート、シーズン4はローラ・ニールと、シーズンごとに異なるショーランナーに変わるというスタイルが仇となったようだ。なおスピンオフの計画も出ているそうで、まだまだユニバースは拡張していきそう。
イギリスの大作「ピーキー・ブラインダーズ」は映画版の話も進行中
2022年はアメリカだけでなくイギリスの大作ドラマも終了している。1890年代から20世紀初頭にかけてバーミンガムに実在したギャンググループ、ピーキー・ブラインダーズを題材とするBBC製作のキリアン・マーフィー主演作「ピーキー・ブラインダーズ」。シーズン7まで続くのでは?と噂されていたが、2013年から続く人気作はシーズン6でシリーズに終止符を打った。
なおクリエイターのスティーヴン・ナイトは映画化について、「映画版をもって、『ピーキー・ブラインダーズ』は完結するということになりそうです」とコメントしており、映画版やスピンオフドラマの製作の可能性も示唆。有終の美を飾ることになりそうだ。