戦国時代の素朴なギモンも解消!時代考証学会会長に聞く『レジェンド&バタフライ』歴史教室
「明智光秀は憤慨しているかもしれません」
Q:「~という説もある」という記述をよく見かけますが、実際のところなにを信じたらいいのでしょうか?
A:「映画や小説はフィクションですから、可能性はいくらでも膨らませられます。それはすごく楽しいけれど、歴史や史実はそういうわけにはいきません。“説”とは、その可能性を広げて、、ここまでは言えるという部分を指します。例えば、坂本龍馬がいつブーツを履いたか、本当のところはわかりません。でも、ブーツを履いている写真はあります。長崎で海援隊をつくった時というのも一つの可能性になるわけです。その妥当性を、歴史学が検証するわけですが、伝説が説になることがあります。他方、新しい資料が発見され、それまでの説がひっくり返ることもあります。それが歴史のおもしろいところです」
Q:本能寺の変の“変”ってどんな意味?
A:「例えば、“乱”は政治体制が替わってしまうような大事件を指します。一方で、“変”は政治体制の変革に及ばない事件です。本能寺の変は政治的支配層の内部に起こった権力闘争であり、政治体制の変革を意味するものではなかったと解釈されています。信長がもたらした変化が大きすぎるため、乱と認められなかったわけです。明智光秀は憤慨しているかもしれません」
『レジェンド&バタフライ』の大友啓史監督とは付き合いが長く、これまでNHK大河ドラマ「龍馬伝」や映画「るろうに剣心」シリーズ5作すべてで「時代考証」として作品に携わってきた大石先生。『レジェンド&バタフライ』公式サイトのWEBマガジン「レジェバタ公記」では、時代考証がどんなお仕事なのか、本作ではどのような部分を監修したのか、そして本作の見どころについても教えてくれた。映画をより深く楽しめるお話ばかりなので、ぜひチェックしてみてほしい!
取材・文/タナカシノブ