韓国で話題の注目作!極上の歴史サスペンス『The Night Owl』が成功した理由とは?
リュ・ジュンヨル×ユ・ヘジン、実力派俳優による最強のアンサンブル
『The Night Owl』には、常に地に足のついた演技をする役者たちが勢揃いしているが、特に、『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』(17)『鳳梧洞戦闘』(19)に続き、三度目の共演となるリュ・ジュンヨルとユ・ヘジンとが放つシナジーが、作品をよりエネルギッシュにしている。
リュ・ジュンヨル曰く、ギョンスというキャラクターにどう説得力を持たせるかが役作りの鍵だった。そして「ある時は視界が暗くて一歩先も歩けない状況だが、逆にあるシーンでは走ったりもできる」とし、「正反対の性質を見せるギョンスを観客が納得できる人物に見せ、現実味あるストーリーを語るために神経を使った」と説明する。ギョンスは日中は虚空を見つめて薬を煎じているが、夜は筆を握って文字を書いている。その姿は彼の感覚が徐々に研ぎ澄まされていく様子をイメージさせる。
キャリアで初めて王のキャラクターに扮したユ・ヘジンは、顔の微細な変調や行動で仁祖の心理を表現できるように苦心したと明らかにした。実際彼は情緒不安に陥った仁祖の顔が震える演技を特殊メイクではなく、自らの身体表現だけで披露している。
また、マスコミ向け試写会でのエピソードも印象的だ。リュ・ジュンヨルは「ユ・ヘジンさんが仁祖役と聞いてとても嬉しかった。“二度共演したから、三度目も同じだろう”という気持ちはなかった。今作ではまた別の姿でお会いしたかったし、また別の感情でユ・ヘジンさんと演じられるという期待があった」と。また、「予想通りこれまでとはまた違う印象だった。なぜユ・ヘジンさんが愛される俳優なのかわかり、大きな感動を受けた」と、ユ・ヘジンへの尊敬を明かした。一方ユ・ヘジンもリュ・ジュンヨルへの称賛を惜しまず、役者としての成長ぶりを激賞した。
2022年に公開された映画の中で最も長い21日間連続でボックスオフィス1位を記録した『The Night Owl』は、まだまだ着実な興行を続けそうだ。日本での劇場公開を、心して待ちたい。
文/荒井 南