『ラ・ラ・ランド』『バビロン』…音楽で夢を紡ぐ若き才能、デイミアン・チャゼル監督作を総まとめ!
「『バビロン』はチャゼル監督だからできた」ブラッド・ピット&マーゴット・ロビーも絶大の信頼
最新作『バビロン』の舞台は、ゴールデンエイジ(黄金時代)と呼ばれた1920年代のハリウッド。サイレント映画からトーキー映画へと移り変わる時代に、富と名声、野心に彩られた映画業界で夢を叶えようとする男女の運命を描く。ピット、ロビーをはじめ、新鋭ディエゴ・カルバ、トビー・マグワイア、サマラ・ウィーヴィング、オリヴィア・ワイルド、キャサリン・ウォーターストン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのベーシスト、フリーなど多彩なキャストが集結。
先日行われた第80回ゴールデン・グローブ賞では、チャゼル監督の全長編映画で作曲を担当しているジャスティン・ハーウィッツが、巨匠ジョン・ウィリアムズら強敵を抑えて、見事に作曲賞を受賞。そんな本作の印象的なシーンと共に撮影現場の裏側に迫った特別映像も解禁された。
「約15年かけてこの映画を製作した」と語るチャゼル監督は、当時の人々のリアルで過激な生活やパーティーを描きたかったという。狂乱の黄金時代の勢い、そこに生きた人々の情熱や野心、大きな夢へ挑む姿までを、熱狂的なジャズミュージックと共に見事に描ききったチャゼル監督に、ピットは「CGは使っていない。カメラだけです。監督だからできたことです」と賛辞を惜しまない。
ロビーも「デイミアンは私たちの世代において最高の監督です」と讃えているほか、プロデューサーとしても本作に携わったマグワイアも「リサーチ、執筆、撮影、監督はいつでも情熱的です」と、豪華俳優陣が口々に絶賛する様子も収められている。
『バビロン』の編集者であるトム・クロスは、チャゼル監督と幾度となくタッグを組んできた。クロスは「僕らは『セッション』のスタッカートのリズムと、シンコペーションの律動を求めたが、(フェデリコ・)フェリーニや(マックス・)オフュルスのように常に動いて浮遊するカメラとのバランスを取らなければならないことが分かっていたので、『ラ・ラ・ランド』で伝えようとした叙情性があちこちに必要だった」と述懐。
さらに「『ファースト・マン』での宇宙シーンのように、強力で没入感のある巨大なセットピースも必要だった。また壮大な建築物、映画の最初から最後まで社会が変化していくことを感じたいというデイミアンの願い、喜劇から悲劇への移り変わりもある。それらすべてが、これまでとは全然違うものでした。だから、この映画は集大成であると同時に、まったく新しいことのようにも感じられたんです」と、本作がチャゼル作品の集大成である所以を語っている。
現地時間1月24日にノミネーション発表、3月12日に授賞式を控える第95回アカデミー賞の最有力作品とされる『バビロン』。感性を揺り動かされること間違いなしの本作に、期待は高まるばかりだ。
文/山崎伸子