鈴木亮平&宮沢氷魚、『エゴイスト』恋人役で受けた刺激「亮平さんは、細胞レベルでその人物になっていく」
「亮平さんとご一緒することで、僕ももっと深く役柄を追求することができた」(宮沢)
――愛を育んでいく浩輔と龍太の空気感がとても心地よいものとなっていましたが、相手役がお互いでよかったなと実感したような場面はありましたか?
鈴木「僕は、浩輔が龍太の髪を乾かすシーンがとても好きで。もちろんベッドシーンのように直接的な触れ合いも愛情の表現だと思いますが、“誰かの髪を乾かすこと”が僕にはとても愛情を感じられる行為でした。一人で自分の髪を乾かすとなると面倒くさいし、別に乾かさなくてもいいといえば、それでいい。でも誰かにやってあげたり、やってもらったりすると、お互いに愛情を感じられるような特別な時間になる。優しい行為でありつつ、動作としてはわしゃわしゃわしゃ!と激しくもあり、そういったところもおもしろいですよね。浩輔と龍太の空気感もあり、とてもいい場面になったのではないかなと感じています」
宮沢「心地のよさを感じるシーンがたくさんありましたが、そんななかでも僕は、龍太が浩輔さんからハンドクリームを塗ってもらうシーンがとても好き。龍太は寝ているので、“触れられている”という感触しか情報としては入ってきていないんですが、その瞬間にものすごく愛と優しさ、温かさを感じました。撮影中もフーッと力が抜けていって『このふわふわした感じはなんだろう』と思ったのを覚えています。その時に亮平さんが『人柄って、意外と手や指先にも出るよね』とお話しされていて、『本当にそうだな』と思いました」
――俳優としての刺激を受けたことはありますか?
宮沢「亮平さんは、カメラが回っている瞬間、回っていない時も、ずっと浩輔さんでいてくれました。役のことをどんどん追求していって、細胞レベルまでその人物になっている亮平さんの姿を目の当たりにして、僕はまだ全然そのレベルには到達できていないなと感じると同時に、そこを目指していきたいと思いました。本当にお忙しい方でたくさんの作品に出演されていますが、その瞬間、演じる役柄にすべてをかけているということが、見ているこちらにも伝わってくるんです。亮平さんとご一緒することで、『もっと自分も龍太に近づきたい』と、どんどん役柄を深いところまで追求できたのではないかと思っています」
鈴木「あまり世代でしっかりとわけてしまうのは好きではないんですが、いまの20代の方々は、僕ら世代よりも、すごく自然体でありつつ、内には燃えているものやきちんとした覚悟を持っている人が多いなと感じていて。氷魚くんは、その代表的な存在だなと思いました。芝居への向き合い方を見ていても、『もう一回』となった時に熱く食らいついていくんです。ものすごく熱いものがあって頭もいいのに、決してそれをひけらかさず、自然体の魅力が感じられるのでうらやましいです。僕が20代のころは、暑苦しかったと思いますね(笑)。情熱だけが先走って、実力もなにも追いついていないのに、自分をよく見せたいというエゴが空回りしていたような気がしています」